吉光(読み)よしみつ

精選版 日本国語大辞典 「吉光」の意味・読み・例文・類語

よしみつ【吉光】

鎌倉後期の刀工粟田口(あわたぐち)吉光。また、その鍛えた刀。→粟田口吉光。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「吉光」の意味・読み・例文・類語

よしみつ【吉光】

粟田口吉光あわたぐちよしみつ

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改訂新版 世界大百科事典 「吉光」の意味・わかりやすい解説

吉光 (よしみつ)

鎌倉時代の刀工。生没年不詳。山城国粟田口に住し,国吉弟子と伝え,藤四郎通称した。相模の新藤五国光とともに短刀名手として名高く,現存する有銘作は一期一振の刀が一口あるほかは,ほとんどが短刀である。室町時代以来,武家の間で賞揚され,1719年(享保4)本阿弥光忠の編による〈名物帳〉には吉光を正宗,江(義弘)とともに名物三作に掲げ,名物168口のうち吉光は16口を数え,焼身分(やけみのぶ)(火災などで損傷したもの)80口のうちでは18口,あわせて34口になっている。作風粟田口派の伝統をひく直刃(すぐは)を得意としており,古伝書では腰にアズキ粒ほどの互の目(ぐのめ)が連(つ)れる手くせがあることを記している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉光」の意味・わかりやすい解説

吉光
よしみつ

生没年不詳。鎌倉後期の刀工。京都粟田口(あわたぐち)派に属し、粟田口吉光という。通称は藤四郎(とうしろう)。国吉の弟子で、正応(しょうおう)年間(1288~93)ごろに活躍したとみられる。短刀の名手として名高く、作品は正宗(まさむね)・郷義弘(ごうよしひろ)と並び「名物三作」と称して珍重された。畠山政長(はたけやままさなが)が細川政元に攻められ、吉光の短刀で切腹を図ったが切れないので、無益な道具だと投げ捨てたところ、傍ら薬研(やげん)(製薬に用いる金属製の器具)へ突っ立ったという「薬研藤四郎」の伝説などにより、持ち主の身を守るものとして、江戸の大名家では吉光の短刀を所持する習わしがあった。なお、吉光を名のる刀工には、土佐吉光、大和(やまと)吉光など多くを数える。

[小笠原信夫]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「吉光」の解説

吉光
よしみつ

刀工の名。古刀期から現代まで同名が多数いる。古刀期の土佐の吉光らのほか,鎌倉後期の京粟田口(あわたぐち)派の藤四郎吉光があげられる。享保期の名物帳は,正宗・江(ごう)(義弘)とともに名物三作とする。御物「一期一振」の刀,重文の薙刀(なぎなた)直し刀(骨喰)などのほかはすべて短刀か剣で,国宝4,重文9がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉光」の解説

吉光 よしみつ

?-? 鎌倉時代の刀工。
粟田口(あわたぐち)派の国吉の弟子。正宗(まさむね),郷義弘(よしひろ)とならぶ三名工のひとりとされる。短刀を得意とし,代表作に「薬研(やげん)藤四郎」「厚藤四郎」と太刀(たち)「一期一振(いちごひとふり)藤四郎」などがある。通称は藤四郎。

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