デジタル大辞泉
「薬研」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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や‐げん【薬研】
薬研〈福富草紙〉
- 〘 名詞 〙 漢方医学などで、製薬に用いる金属製の器具。細長い舟形で、中に深いくぼみがあり、これに薬種を入れて軸のついた円板形の車で押し砕くもの。くすりおろし。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- [初出の実例]「岸の額(ひたい)のかた土くゎっと崩れて、薬研(ヤゲン)のやうなる所へ」(出典:太平記(14C後)三一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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薬研
やげん
生薬(しょうやく)を粉末化するための道具。中国の唐代に発明されたもので、中国名は薬碾(やくてん)。日本へ伝わった年代は不明であるが、茶をひく茶碾は11世紀(平安時代)にはすでに伝わっていたことが知られている。薬研の伝来は、おそらくこれよりも以降であろう。薬研は、細長い舟形で断面がV字形をした臼(うす)の部分と、そろばん玉を平たくして軸を通したような磨(す)り具とからなる。大きさはさまざまであるが、臼部の長さ30センチメートル、磨り具の径20センチメートルほどのものが一般的である。木製、鉄製、石製のものがある。使用に際しては、座して体の前に臼を縦方向に置き、臼の中に薬物を入れ、磨り具をのせ、両軸を手のひらでつかみ、磨り具を前後に回転させながら粉末にする。このとき、左右の手のいずれかをやや前後させ、臼に対して磨り具をやや斜めにするとひきやすくなる。
[難波恒雄・御影雅幸]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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薬研 (やげん)
〈くすりおろし〉ともいう。おもに漢方の製薬に用いる鉄製の道具。漢方では,薬を細かくし煎じて飲むために,細長い舟形で中が断面V字形にくぼんだやげんと,やげん車といって鉄の車輪状の円盤に木の棒をさしたものとを使って薬種を押しくだいた。やげんはその形から,臼と同様に,女陰の象徴ともみられた。また金石類に文字などをV字形に彫り込むことをやげん彫,V字形に掘った底のせまい堀をやげん堀というが,それだけこの道具がなじみ深いものであったことを示している。
執筆者:村下 重夫
薬研[温泉] (やげん)
青森県北部,下北半島の恐山北麓にある温泉。むつ市に属する。単純泉,47℃。付近はブナやカエデの広葉樹に包まれた山間の深い谷をなし,大畑川が滝や渓流をつくって流れている。温泉の発見は1614年(慶長19)といわれ,わき口が薬草を粉末にする薬研に似ているところから名付けられた。1965年自動車道が完成し,ホテルや保養所,国営キャンプ場がつくられた。さらに2km上流には奥薬研温泉(単純泉,57℃)がある。
執筆者:横山 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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薬研
やげん
chemist's mortar; druggist's mortar
細長くて底部中央が丸く舟形にへこんだ鉄容器と,それにちょうどはまって前後に滑動できる大きさの鉄製円盤とを組合せた道具。円盤中心には左右に握りが出ており,これを握って動かして容器内の鉱石,乾固した草木,種子,穀物などをすりつぶす。西洋でも東洋でも昔から薬の原料を粉砕するのに用いられたのでこの名がある。顔料製造にも使われた。現在でも漢方薬店などで使っているところがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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普及版 字通
「薬研」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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