肥薩線(読み)ひさつせん

共同通信ニュース用語解説 「肥薩線」の解説

肥薩線

八代(熊本県八代市)―隼人(鹿児島県霧島市)間の124・2キロを結ぶJR九州鉄道路線。熊本、宮崎、鹿児島の3県28駅を縦断する。沿線には温泉地や川下りが有名な球磨川といった観光地がある。2020年7月の豪雨で橋桁が流失したり、駅が浸水したりといった甚大な被害により、八代―吉松(鹿児島県湧水町)間の86・8キロで不通が続く。被災前は観光列車「SL人吉」を走らせ、利用客増加へてこ入れを図っていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肥薩線」の意味・わかりやすい解説

肥薩線
ひさつせん

九州旅客鉄道の線路名称。八代(やつしろ)(熊本県)―隼人(はやと)(鹿児島県)間124.2キロメートル、全線単線、非電化。八代平野より球磨(くま)川河谷をさかのぼり、人吉(ひとよし)盆地を経て、熊本・鹿児島県境の分水嶺(ぶんすいれい)を矢岳(やたけ)トンネルで貫き、いったん川内(せんだい)川流域を通過したのち、ふたたび分水嶺を越えて、鹿児島湾に注ぐ新川(しんかわ)流域に入る。分水嶺付近は25‰(パーミル)以上の急勾配(こうばい)が連続し、スイッチバック駅(大畑(おこば)、真幸(まさき))やループ線(大畑―矢岳間)がある。1903~1909年(明治36~42)開業。八代―人吉(ひとよし)間は人吉本線、吉松―鹿児島間は鹿児島線として開業したが、1909年の全通とともに門司(もじ)―鹿児島間幹線鉄道である鹿児島本線の一部となった。しかし、急勾配区間を避けるため、八代―鹿児島間では海岸回りの迂回(うかい)線の建設が進み、1927年(昭和2)その全通とともに、八代―吉松―鹿児島間は肥薩線と改称してローカル線となった。続いて1932年、隼人―鹿児島間は日豊(にっぽう)本線に編入され、肥薩線は八代―隼人間のみとなった。

 なお、現在の肥薩線は2代目で、1923~1927年(大正12~昭和2)には、八代海岸沿いに建設された八代―湯浦間が肥薩線とよばれていた。その後海岸回りの八代―鹿児島間の全通とともに鹿児島本線に編入され、肥薩線の線名は古い山越えの鉄道線の名称にかわった。1987年、日本国有鉄道の分割民営化に伴い、九州旅客鉄道に所属。愛称はえびの高原線。

[青木栄一・青木 亮]

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百科事典マイペディア 「肥薩線」の意味・わかりやすい解説

肥薩線【ひさつせん】

八代〜隼人(はやと)間のJR線。営業キロ124.2km。1909年鹿児島本線の一部として全通,1927年川内経由の線の完成によって現名になった。八代から球磨川沿いに人吉に至り,矢岳山付近には急勾配(こうばい)区間があるため,大畑(おこば)付近にはループ線がみられる。八代〜吉松間をえびの高原線と愛称。
→関連項目大畑[駅]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肥薩線」の意味・わかりやすい解説

肥薩線
ひさつせん

九州南西部を南北に貫く鉄道。 JR九州。全長 124.2km。八代 (熊本県) から人吉を経て鹿児島の北東部を通り,隼人で日豊本線と連絡する。 1909年全通。当初は鹿児島本線の一部であったが,27年海岸線の開通によってローカル線となった。

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デジタル大辞泉プラス 「肥薩線」の解説

肥薩線

JR九州が運行する鉄道路線。熊本県八代市の八代駅から鹿児島県霧島市の隼人駅を結ぶ。八代駅~吉松駅間は「えびの高原線」とも呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の肥薩線の言及

【鹿児島本線】より

…おもな経由地は福岡県北九州市,福岡市,久留米市,大牟田市,熊本県熊本市,八代市である。門司(現,門司港)~八代間を九州鉄道が,八代~鹿児島間(現在の肥薩線経由)を政府が,それぞれ建設し営業を開始したが,1907年7月九州鉄道を政府が買収し国鉄線となった。買収当時,八代~人吉~吉松間は未開通で,09年11月の門司~鹿児島間の全通により鹿児島本線と改称された。…

※「肥薩線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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