和田久太郎(読み)わだきゅうたろう

改訂新版 世界大百科事典 「和田久太郎」の意味・わかりやすい解説

和田久太郎 (わだきゅうたろう)
生没年:1893-1928(明治26-昭和3)

大正期の無政府主義者。明石で出生し,貧窮のうちに育つ。11歳から20歳まで大阪,神戸の証券業界で働く。以後,新聞配達夫などの職業を転々とし,1916年の堺利彦の衆院選応援を機に売文社に加わる。18年に大杉栄のもとへ走り《労働運動発刊尽力,革命的サンディカリスムを鼓吹する。24年9月,関東大震災1周年に大杉虐殺(甘粕事件報復として,もと戒厳司令官を狙撃して未遂に終わり,無期懲役。獄房で縊死する。
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20世紀日本人名事典 「和田久太郎」の解説

和田 久太郎
ワダ キュウタロウ

大正期の無政府主義者,俳人



生年
明治26(1893)年2月6日

没年
昭和3(1928)年2月20日

出生地
兵庫県明石郡明石町

別名
別号=錦江,酔蜂

経歴
大阪で株屋の丁稚から店員となるが、20歳の時放浪して社会主義者となり、上京して大杉栄らのアナキズム運動に参加。大正13年陸軍大将福田雅太郎を、前年の大杉栄夫妻虐殺の復讐として狙撃したが失敗に終わり、無期懲役に処せられ、昭和3年秋田監獄で縊死した。著書獄中俳句短歌書簡を収めた「獄窓から」がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「和田久太郎」の解説

和田久太郎 わだ-きゅうたろう

1893-1928 明治-昭和時代前期の社会運動家,俳人。
明治26年2月6日生まれ。株式仲買店の店員をしながら俳句をまなぶ。大杉栄(さかえ)らのアナーキズム運動にくわわり,「労働運動」を発行。関東大震災の際の大杉虐殺に復讐(ふくしゅう)するため,大正13年陸軍大将福田雅太郎(まさたろう)を狙撃(そげき)するが失敗,無期懲役となる。服役中の昭和3年2月20日自殺。36歳。兵庫県出身。
【格言など】もろもろの悩みも消ゆる雪の風(辞世)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「和田久太郎」の解説

和田 久太郎 (わだ きゅうたろう)

生年月日:1893年2月6日
大正時代の無政府主義者
1928年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の和田久太郎の言及

【甘粕事件】より

…12月16日には大杉の葬儀が行われたが,その朝には右翼の大化会が大杉の遺骨を奪取して葬儀を侮辱した。大杉派の無政府主義者もテロリズムにかりたてられ,震災1周年には和田久太郎,村木源次郎が福田元戒厳司令官の暗殺を企てて失敗し,無政府主義の衰退を早めた。甘粕は3年後の1926年10月に早くも仮出獄し,陸軍の機密費で1年半ほど渡仏した。…

【大杉栄】より

…その後,保子と別れ,野枝と一緒になる。18年亀戸の労働者街に移住し,野枝と《文明批評》(1~3月)を,和田久太郎,久板卯之助らと《労働新聞》(4~7月)を創刊。第1次大戦後,労働運動が高まっていくなかで,自主自活的労働の促進を目的とする《労働運動》を19年に近藤憲二,和田,久板らと創刊する。…

※「和田久太郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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