改訂新版 世界大百科事典 「和白」の意味・わかりやすい解説
和白 (わはく)
朝鮮,新羅の有力貴族によって組織された会議。国家の大事を決定したといわれている。《新唐書》新羅伝は,〈事を行うのに必ず会議を開いた。これを和白と呼び,一人でも異議を唱えれば決定されなかった〉と,そのようすを伝えている。おそらく統一新羅時代のことと思われる。同様の会議形態は《隋書》新羅伝にもみられ,さらに《三国遺事》巻一の真徳王条は,大事の決定に際しては大臣が霊地におもむいて合議したと伝えている。和白の呼称がいつごろから始まったかは不明であるが,国事を決定するための会議は古くから行われていたとみてよい。おそらくその源流は,5世紀以前の麻立干(まりつかん)(王の称号)を中心とした合議制に求められるであろう。6世紀以降は有力貴族である大等階層によって構成され,その承認なしには王位継承もなしえなかったほどであったと考えられている。しかし,王権の確立・専制化とともに,その政治的役割は低下したとみるべきであろう。
→新羅
執筆者:木村 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報