唸り(読み)ウナリ

デジタル大辞泉 「唸り」の意味・読み・例文・類語

うなり【×唸り】

うなること。また、それに似た声や音。「機械唸りをあげる」
たこにつけて、風の力で鳴らすもの。また、その音。鯨のひげとうを薄く削り弓形にしたものなどを糸に張る。
振動数のわずかに異なる二つ音波干渉し合って、周期的に音が強くなったり弱くなったりして聞こえる現象広義には波動、特に電磁波などの同様の現象にもいう。

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精選版 日本国語大辞典 「唸り」の意味・読み・例文・類語

うなり【唸・呻】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うなる(唸)」の連用形の名詞化 )
  2. 力を入れたり、苦しんだり、感心したりして出す低い声。うーんとうめく声。
    1. [初出の実例]「びゑゑ会社の徽旗(フラフ)を睨み〈略〉低くして太き呻り声を発したり」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉三)
  3. 獣が怒ったりして出す低い声。ほえる声。
    1. [初出の実例]「嫂(あによめ)の皷膜には〈略〉獣類の吠(ウナリ)として不快に響いたらしい」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから)
  4. (たこ)につけて風によって音を起こさせるもの。また、その音。竹、(とう)、鯨のひげなどを薄くそいで弓形にしたものを、凧糸の上の方に付けると、風にあたって強弱のくりかえし音を発する。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
  5. 低く鈍く断続して鳴る音にいう。風の音、楽器、鐘、機械の音、虫の羽音など。
    1. [初出の実例]「十二時を報ずるステーションの工場の汽笛が、シッポリ濡れた様な唸りをあげる」(出典:葬列(1906)〈石川啄木〉)
  6. 振動数がわずかに異なる二つの音波が重なったとき、干渉によって、音が周期的に強くなったり弱くなったりして聞こえる現象。広義には光や電波などの同様の現象についてもいう。ピアノ調律はこの原理利用して行なう。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「唸り」の意味・わかりやすい解説

唸り (うなり)
beat

振動数の異なる二つの波が重ね合わされたとき,合成された波の振幅が周期的に変化する現象。いま振幅が両者ともAで,振動数がf1f2の二つの正弦波A sinf1tA sin2πf2tが重ね合わされたとき,合成波は2A cos{2π(f1f2t/2}・sin{2π(f1f2t/2}となる(tは時間を表す)。これは振幅が2Acos{2π(f1f2t/2}で,(f1f2)/2,すなわち二つの正弦波の平均の振動数をもつ波である。この波の振幅は最大2Aから最小0まで周期的に変化し,これが1秒間に繰り返される数,すなわちうなりの数は,f1f2,すなわち二つの正弦波の振動数の差になる。うなりは各種の振動,波動に現れるものであるが,とくに振動数の接近した二つの音が同時にあるときに顕著に知覚され,“ワーン,ワーン”というように聞こえるのがこの現象である。ただし人間の耳で聞くことができるのは,1秒間のうなりの数が数回以下の場合である。一方の音の振動数がわかっているときには,1秒間のうなりの数から他方の振動数を知ることができ,またうなりの現象は,楽器の調律などにも広く利用されている。
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百科事典マイペディア 「唸り」の意味・わかりやすい解説

唸り【うなり】

振動数がわずかに異なる二つの音が同時に存在するとき,音波の干渉のため音が周期的に強くなったり弱くなったりする現象。1秒間のうなりの数は,二つの音の振動数の差に等しい。楽器の調律に利用。電波にもうなりがみられ,スーパーヘテロダイン回路などに利用される。

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世界大百科事典(旧版)内の唸りの言及

【オーディオ】より

…これを改善したテープをローノイズテープlow noise tapeという。 ビートbeat周波数がわずかに異なる二つの正弦波が重ね合わされたときに生ずる振幅の周期的変化で,うなりといって可聴帯域では二つの周波数の差の周波数の音として聞こえる。 VUメーターVU meterプログラム音のレベルを監視するための指示計器であり,聴感上の音量に近い指示をするように平均2乗形に近い特性をもつ。…

【波動】より

…なお,正弦波に限らず位相速度vx軸方向に進む波は,一般に,の形で示される。
[うなりと群速度]
 振動数のわずかに異なる二つの正弦波を重ね合わせると,ある場所で,ある瞬間に波の山と山が重なっていても,しだいに山の位置がずれていくので互いに打ち消し合うようになり,その後再び山の位置が近づいて,山の数が一つだけずれたとき再び山と山が重なり合う。その結果,重なり合った波の振幅は周期的に変化し,1秒間の増減の回数は二つの波の振動数の差に等しい。…

【梵鐘】より

…同図のbは子午線節線4本と円形節線1本がある固有振動の場合で,円形節線に相当する横の部分では音は小さく,主として斜め上方や斜め下方に音が分布する。 鐘の音のひとつの特徴は,余韻がうなりを生じながら小さくなることである。これは固有振動が一つだけではなく,実際にはまったく同じような振動様式の振動が,きわめてわずかに振動数を異にして一対となっておこるためで,鐘がその中心軸に対して完全な対称になっていないことに基づくものである。…

※「唸り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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