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喉頭がん こうとうがんLaryngeal Cancer

家庭医学館の解説

こうとうがん【喉頭がん Laryngeal Cancer】

◎治る確率が高いがんの1つ
[どんな病気か]
 声帯(せいたい)(声を出すところ、発声器官)を中心に発生した、のどのがんです。
 病理組織的分類(顕微鏡で見た細胞の形による分類)にしたがうと、喉頭がんのほとんどは、扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんに分類されるがんです。
 亜部位による分類(喉頭を細かい部位に分けた分類)では、
①声門上(せいもんじょう)がん=声帯より上のほうに発生するがん
②声門(せいもん)がん=声帯を中心に発生するがん
③声門下(せいもんか)がん=声帯より下のほうに発生するがん
の3つに分けられます。
 発生頻度は、喉頭がん全体のなかで、声門がん約70%、声門上がん25%、声門下がん5%という割合で、この順序で治りやすいことがわかっています。喉頭がんの発生は、たばこを吸う男性に多く、男性10に対し女性1という発生率といわれてきましたが、近年、たばこを吸う女性が増えるにともない、女性の発生率が増えているという報告もあります。
 ただ、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)が扱うがんのなかでは、治る確率の高いがんの1つです。病院によって成績が多少ちがいますが、早期がんであれば90%以上が治り、治療後、声が変わったりもしません。
 また、進行がんを含むすべての喉頭がんの生存率は、5年後で約80%、10年後でも約75%とかなり高くなっています。
[症状]
 声門がんは、声がすれ、しわがれ声(嗄声(させい))が主要な症状です。声に変化がおこるので気づかれやすく、発見しやすいがんの1つです。
 声門上がんは、のどの異物感・違和感のみのことがあります。
 喉頭がんが増大し、進展するにつれ、その程度や方向によっては、呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)(ゼーゼーヒューヒューいう)、たんに血がまじる、ものを飲み込むときにのどが痛む、のどを飲食物が通りづらいなどの症状が現われてきます。
[検査と診断]
 間接喉頭鏡(かんせつこうとうきょう)、軟性喉頭(なんせいこうとう)ファイバースコープで専門医がのどを見れば簡単に診断がつきますが、がんかどうかの確定診断には、組織を微量採取して、顕微鏡で見る生検(せいけん)が必要です。
◎手術と放射線治療が中心
[治療]
 手術と放射線治療が中心ですが、これに化学療法(抗がん剤を使う治療)が加えられることもあります。
●放射線治療
 早期がんであれば、放射線治療が原則ですが、大きさ、亜部位によっては、レーザー治療が適応になります。
 放射線治療は、1週間に10グレイ(放射線の量の単位)ずつ照射する治療で、合計60~65グレイの放射線を照射しますから、治療を終えるまでに6~7週間かかります。
 この治療に抗がん剤を合わせて使用する治療法もあります。
●手術
 進行がんや声門下がんの場合は、喉頭を全部とってしまう手術(喉頭全摘術(こうとうぜんてきじゅつ))を行なうほうが安全です。
 この手術を受けると、食事はこれまでどおり口から食べられるものの、くびの前下の中央部に開けた穴(永久気管孔)で呼吸をすることになります。
 また、声帯を摘出してしまうので声が出なくなります。このため、食道音声(食道発声)や、人工喉頭、T‐Eシャントなどの代用音声(「喉頭摘出後の代用音声」)を使って発声することになります。
 この代用音声を使用すると、患者さんの年齢・肺活量・意欲といった要素も関係しますが、訓練でコツを会得すれば、手術前と同じというわけにはいかないものの、かなりよく会話できるようになります。
 がんのできた部位や大きさによっては、喉頭の上半分を切除する水平部分切除、片側だけを切除する垂直部分切除といった、部分切除術が行なわれることがあります。
 頸部リンパ節に転移している場合は、くびのリンパ節を系統的に切除する頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)が必要になります。
 いずれにしても、喉頭がんの手術は、コミュニケーション手段として非常に重要な「声」にかかわる治療なので、治療を担当する医師、がんの状態、患者さんの希望、年齢、音声に対する要求度などを考慮して、慎重に治療方針が決められることが望まれます。
[予防]
「たばこ発がん」ということばもあるほどで、たばこは明らかによくありません。
 たばこを吸うと、発がん物質を含むタールの60%が、声帯やその近くの仮声帯に付着するといわれています。
 たばこの害を示す指標にブリンクマン指数があります。これは、1日の喫煙本数に喫煙年数を掛け、その答えの数値からがんが発生する危険度を判断するものです。この数値が600を超えると要注意で、1000を超えるようだと危険信号といわれています。
 また、受け身喫煙(受動喫煙=本人は吸わなくても、周囲の人が吸っているたばこの煙を吸い込んでしまう状態)も喉頭がんの原因として、影響があるといわれています。
 過度の喫煙者のすべてが喉頭がんになるわけではありませんが、喉頭がんになった人の97.3%がたばこを吸っていたというデータがあります。
 40歳以上のたばこを吸う男性で、しわがれ声が1か月以上も続くときは、耳鼻咽喉科を受診したほうがよいでしょう。
 また、サケ指数というのがあって、1日の飲酒量(合(ごう))に飲酒年数を掛けた数値で表わされますが、これが60を超えるとがんが発生しやすくなるといわれています。
 声門上がん発生には、アルコールの影響もあるとされています。アルコール自体は発がん物質ではありませんが、とくに、たばことアルコールをいっしょにたしなむと、がんの発生率を高めるようです。
 例をあげれば、たばこの煙がもうもうとしている狭いスナックで、アルコールのピッチをあげながら大声で会話するなどは、よくないわけです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

食の医学館の解説

こうとうがん【喉頭がん】

《どんな病気か?》


 喉頭(こうとう)がんはのどのがんで、声をだす声帯(せいたい)を中心に発生します。また、部位によって発生率や治癒率(ちゆりつ)が異なり、声帯付近、声帯より上、声帯より下の部位の順番で発生率は高く、しかし治りやすいのが特徴です。
 喉頭がんの発生は、男性の発生率が高く、女性の約10倍。しかもほとんどの人がヘビースモーカーという統計があり、まさにおもな原因は喫煙だといわれています。
 おもな症状は声がれです。そのため早期発見がしやすく、治癒率が高いのも特徴の1つです。
 声帯より上に発生する場合には、のどの異物感や違和感を感じるだけのこともあります。

《関連する食品》


〈粘膜を強化するビタミンA、亜鉛が有効に働く〉
○栄養成分としての働きから
 のどの粘膜(ねんまく)を強化するためには、ビタミンAをたくさん摂取しましょう。もともとビタミンAは細胞膜を健康な状態に維持するために重要な栄養素です。ビタミンAは緑黄色野菜から摂取できますが、とくにニンジンには豊富に含まれています。
 また、粘膜を強化して免疫力を高めるために、亜鉛(あえん)も必要です。ミネラルの一種ですが、カキなどの貝類や甲殻類(こうかくるい)、豚や牛の赤身肉、スイートコーンやプロセスチーズなどから摂取できます。
○注意すべきこと
 禁煙するのはもちろんですが、栄養面では、脂肪やコレステロールをとりすぎると発がん率が高まる傾向がありますので、摂取量には注意しましょう。

出典 小学館食の医学館について 情報

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