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代用音声 だいようおんせいsubstitute voice

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

代用音声
だいようおんせい
substitute voice

喉頭全摘出術を行うと正常の発声機能が失われるので,喉頭以外からの発音を利用しなければ会話ができない。これを代用音声と総称する。代用音声は人工喉頭 (笛式,電気式) ,食道発声,喉頭形成術でつくられた咽頭気管瘻などによって得られる。笛式人工喉頭は管の途中に薄いゴム膜を張ったもので,一端を気管口に当てて空気を送り,ゴム膜を振動させて原音とし,一端を口にくわえて構音する。電気式は,電気的に振動を発する装置を前頸部に当てて,咽頭の空気を共鳴させて原音とする。食道発声は,空気を食道に嚥下または吸引して,これを吐き出すときに食道入口部,舌根部,舌背などを振動させて声を出すものである。このほか最近では,喉頭全摘出術後の断端の形成手術によって代用音声を発するようにする方法が実用化されつつある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

代用音声
だいようおんせい

(がん)などの治療のための喉頭(こうとう)摘出による声帯切除や、先天性の発声・発音の機能障害などにより発声ができない場合の、声にかわる音声的コミュニケーション手段。大きく分けて「食道発声」「人工喉頭を用いる発声」「気管食道瘻(ろう)発声(シャント発声)」の三つの方法がある。
 食道発声は、吸い込んだ空気を逆流させて食道起始部を振動させ、食道音声を発する方法である。器具を使わずにすむため広く採用されているが、この方法で発声するためには訓練が必要であり、肺活量の少ない高齢者などには習得がむずかしいこともある。
 人工喉頭を用いる発声には、笛式(タピア式)と電気式がある。笛式は気管切開孔に笛をあてて息を吸い込んで音を出し、その音をチューブで口腔(こうくう)内に取り込んで発声する。電気式はあご下のやわらかい部分にバイブレーターをあて、咽頭(いんとう)粘膜を振動させて発声する方法で、従来広く用いられていたタピア式にかわって普及している。人工喉頭を用いる方法は、器具を用いなければならないというデメリットがあるが、食道発声に比べて音声の獲得が容易である。
 シャント発声は上述の方法に比べて新しい方式である。手術によって気道と咽頭、食道の間にシャント(瘻孔)をつくり、呼気時に気管切開孔を指で閉鎖して食道に取り込み、最終的に呼気を咽頭粘膜に導いて発声する。手術が簡単で、食道発声よりも声の獲得が容易であり、電気式に比べ音声が肉声に近いことから、世界的に普及し、日本でも広まっている。[編集部]

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世界大百科事典内の代用音声の言及

【声】より

…したがってこの状態では手術前のように呼気を使って声を出すことができないので,別の方法で音を出して人と話をすることが必要になる。このような音は代用音声とよばれ,その方法の一つとして食道音声という方法がある。これは,食道内に空気をのみ込んで,これをはき出しながら,この空気流で食道の入口の粘膜をふるわせて,その部分で断続気流をつくり,音を出すものである。…

※「代用音声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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