四向四果(読み)しこうしか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

四向四果
しこうしか

仏教用語。四向四得,四双八輩ともいう。部派仏教において,修行していく段階を意味する「向」と,それによって到達した境地を意味する「果」とを総称したもの。預流向 (よるこう) ・預流果,一来向・一来果,不還向 (ふげんこう) ・不還果,阿羅漢向・阿羅漢果をさす。 (1) 預流向とは四諦 (したい) を観察する段階である見道で,欲界,色界,無色界の三界の煩悩を断じつつある間をいい,預流果とは見道のそれらの煩悩を断じ終ってもはや地獄,餓鬼,畜生の三悪道には堕することがなくなる状態をいう。 (2) 一来向とは四諦を観察することを繰返していく修道の段階で,欲界の修道の煩悩を9種に分類したうちの6種の煩悩を断じつつある間をいい,一来果とはその6種の煩悩を断じ終った位をいう。 (3) 不還向とは一来果で断じきれなかった残りの3種の煩悩を断じつつある間をいい,不還果とはその3種の煩悩を断じ終った位をいう。 (4) 阿羅漢向とは不還果を得た聖者がすべての煩悩を断じつつある間をいい,阿羅漢果とはすべての煩悩を断じ終って涅槃 (ねはん) に入り,もはや再び生死を繰返すことがなくなった位をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

四向四果
しこうしか

仏教の修行道の階位を表す用語。聖者の段階に入った者を(1)預流(よる)(須陀(しゅだおん)。聖道の流れに入った者で、天界と人間界とを七度往来する間に修行が進み悟りを得る者)、(2)一来(いちらい)(斯陀含(しだごん)。天界と人間界とを一度だけ往復して悟りを得る者)、(3)不還(ふげん)(阿那含(あなごん)。ふたたびこの世に還(かえ)らないで天界で悟りを得る者)、(4)阿羅漢(あらかん)(この世で煩悩(ぼんのう)を滅尽し悟りを得る者)に分け、それぞれに向(こう)(向かって進む位)と果(か)(到達した境地)をたてるので、合して四向四果という。なお、向と果の対(つい)を四つあわせて8種の聖者となるので、四雙八輩(しそうはっぱい)ともいう。[藤田宏達]

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精選版 日本国語大辞典の解説

しこう‐しか シカウシクヮ【四向四果】

〘名〙 仏語。須陀洹(しゅだおんこう)・須陀洹果、斯陀含向・斯陀含果、阿那含向・阿那含果、阿羅漢向・阿羅漢果の総称。新訳では、預流向・預流果、一来向・一来果、不還向・不還果、阿羅漢向・阿羅漢果という。小乗仏教における修行の階位で、向は果に向かう修行過程、果はそれによって得られた位をいう。
※秘蔵宝鑰(830頃)中「第四〈略〉四向四果即人位」 〔王僧孺‐懺悔礼仏文〕

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