回転粘度計(読み)カイテンネンドケイ(英語表記)rotational viscometer

化学辞典 第2版 「回転粘度計」の解説

回転粘度計
カイテンネンドケイ
rotational viscometer

物体のまわりで液体を回転させ,回転速度と液体の粘性により物体に及ぼす回転力との関係から液体の粘度を求める粘度計.逆に液体中で物体のほうを回転させる方法もある.もっともよく用いられる方法では,共軸二つ円筒の外筒に液体を入れ,このなかに金属線でつるした中空の内筒を浸し,外筒を一定速度(角速度ω)で回転させ,このとき内筒に及ぼす回転力Mを金属線の全ねじれ角θで測定する.外筒,内筒の半径をそれぞれ reri,内筒が液中に浸っている高さをhとすれば,粘度ηは次式で与えられる.

θとMの関係は別の実験で定めておく.この方法はシロップのような高粘度の液体,チキソトロピーを示す液体,微粒子を懸濁する液体,高温融解塩や融解金属などの粘度測定に適する.同じ原理の方法は気体にも適用できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「回転粘度計」の意味・わかりやすい解説

回転粘度計
かいてんねんどけい
rotational viscometer

液体の粘性率を回転法で求める計器。2個の同心円筒の間に液体を入れ,内円筒をばねでつるし,外円筒を一定角速度で回転すると,液の粘性により内円筒もついて回る偶力を生じるが,ばねのため一定のねじれで釣合う。そのねじれ角から粘性率を求めるのがサール,ストーマらの粘度計。液を入れた円筒容器に円板を針金でつるし,円筒を回転させて円板にかかる偶力 (針金のねじれ) 測定によるのがアイマー・アメンド粘度計。また液中につるした円板に回転振動を与え,その減衰率から粘性率を求めるフォーゲル粘度計などがある。気体の粘性率も,水平に一定間隔にある2枚の円板の,下方を回転して上方円板にかかる偶力から測定する方法があり,これも一種の回転粘度計である。なお粘度計には,このほかに細管内の液流の状態を利用する非常に多くの計器が考案されている。

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栄養・生化学辞典 「回転粘度計」の解説

回転粘度計

 少しの間隔をあけて重ねた二つの円筒の内側外側の円筒の間に溶液を入れ,内側の円筒を回転させて溶液の粘度を測定する装置

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の回転粘度計の言及

【粘度計】より

…ほかに,円筒形状の容器内にある液体が,10~50mm程度の短い管をとおして自然流出するのに要する時間が,粘度と一定の関係にあることを利用した短管粘度計(図2)がある。
[回転粘度計]
 流体中に置かれた円筒,円板などを回転させるか,円筒,円板を固定し,周囲の流体に同心円状の回転運動を与えたとき,粘性によるトルクが粘度に比例することを利用して測定する。図3は共軸二重円筒形の外筒回転方式の構造である。…

※「回転粘度計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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