日本大百科全書(ニッポニカ) 「回転翼航空機」の意味・わかりやすい解説
回転翼航空機
かいてんよくこうくうき
航空機のうちの重航空機(空気より重く、翼に生ずる揚力によって空中に浮かぶ航空機)で、回転翼により飛行に必要な揚力の全部、またはその大部分を得ているもの。固定した翼によって揚力を得ている重航空機(固定翼航空機)に対して用いる航空機の分類上の用語である。現在、回転翼航空機としては、ヘリコプターが代表的で数も圧倒的に多いが、ほかにオートジャイロ(ジャイロプレーン。回転翼を始動するときには動力を用いるが、飛行中は動力を切り放し、翼の空気力学的特性を利用して自由回転させる)、ジャイロダイン(ヘリコプターとオートジャイロの両方の特徴を兼ね備えるもの)、コンバーチブルプレーン(転換式航空機)、コンパウンドヘリコプター(前進用のエンジンと固定翼を備えた複合ヘリコプター)などがある。
回転翼航空機は原理が簡単なため、発想は固定翼航空機より古く、1490年ごろレオナルド・ダ・ビンチの数々の発明のなかに、すでにそのスケッチが残されている。しかし、技術的に難問が多く、実用化は飛行機に遅れをとった。ヘリコプターが固定翼航空機なみの実用性を得たのは、1950年代の後半で、ガスタービンエンジンが使用されるようになってからである。
[落合一夫]