国安村(読み)くにやすむら

日本歴史地名大系 「国安村」の解説

国安村
くにやすむら

[現在地名]鳥取市国安・源太げんだ

蔵田くらだ村の南西、千代川の氾濫原上に立地し、東部を智頭ちず街道が通る。建武三年(一三三六)一二月二七日の光厳上皇院宣(壬生家文書)に「因幡国々安今島保」とみえ、同地などが小槻(壬生)匡遠に安堵されている。永享二年(一四三〇)九月一九日の願文(熊野那智大社文書)には医王いおう山の先達松本栄尊引の旦那として、国安に居住する藤原左衛門守行・藤原治部左衛門家守・秋岡の名がみえる。千代川の川筋の変更により、年代は不明だが高草たかくさ郡から邑美郡に属することになったという(因幡民談記)。その後も大水でしばしば流路が変わり、池田長吉が邑美郡を支配した慶長年間(一五九六―一六一五)洪水後にできた中洲の領分をめぐって高草郡を領地としていた亀井茲矩と争い、幕府裁定で当村領分となったとされる(同書)。千代川の西対岸に飛地の源太があり、また同じく対岸の向国安むこうくにやす村は当村の枝郷であった。

藩政期の拝領高は五五五石余、本免六ツ。

国安村
くにやすむら

[現在地名]水府村国安

山田川中流の谷幅の広い地で、台地が多く水田は少ない。北は和久わぐ村。「新編常陸国誌」の国安村の項に「増井正宗寺天文四年ノ文書ニ藤田ノ内クニヤス、町田一チヤウトアルハ、上ノ町田ト本村トナリ、中世藤原氏二階堂ノ一族、此ノ地ニ居リ、国安氏トナル」とある。佐竹知行目録(彰考館蔵)の文亀三年(一五〇三)の項に「染之村たう山国安ぬかたの内二間 滑川兵庫助」「染村山下国安クニキ 滑川藤四郎」とみえる。

国安村
くにやすむら

[現在地名]余呉町国安

文室ふむろ村の北に位置し、西方山地の東麓に本村、北境の天神てんじん山南麓に枝郷天神前てんじんまえ村がある。東部に国安盆地が広がり、東辺を勘定かんじよう川が南流。天神山には天正一一年(一五八三)賤ヶ岳の戦で羽柴秀吉方の柴田勝豊配下木下一元・山路正国の砦が築かれたと伝える。

宝暦九年(一七五九)の村明細帳(国安区有文書)によれば、慶長七年(一六〇二)の検地では田高四六二石余・反別三〇町五反余(別に荒田五反余)、畑八一石余・一二町四反余。

国安村
くにやすむら

[現在地名]稲美町国安中村なかむら

六分一ろくぶいち村の北、印南野いなみの台地の南部に位置する。くもり川がつくった河谷の北側に広がる河岸台地上、地形的には高位段丘上にある。曇川支流の国安川は村内の池から流出する。蛸草たこくさ郷の惣氏神国安天満神社がある。慶長国絵図に村名がみえ、正保郷帳によると田方五四六石余・畑方八一石余、ほかに天神社(現天満神社)領高五石。寛延三年(一七五〇)の村明細帳(国安天満神社蔵)では高七三二石余、田三六町六反余・畑八町六反余、新高四一石余・新田畑六町八反余、家数一〇九(うち本百姓七六)・人数六一八、牛二四、溜池はかうと池(現琴池)など四。

国安村
くにやすむら

[現在地名]大東町千浜ちはま

きく(国安川)最下流左岸に位置し、東は成行なりゆき村、南は海(遠州灘)に面する。永正一七年(一五二〇)八月六日の高松社神田注文(中山文書)に、今川氏が検地増分として高松たかまつ(現浜岡町)に新たに寄進した鼻連はなつら崎の三反四丈の耕作者として「くにやす」の孫兵衛がみえる。「家忠日記」天正七年(一五七九)四月二五日条および一一月二七日条に、遠江に進出した武田軍が国安に陣を取ったと記されており、武田軍の拠点であったとうかがえる。同九年三月の高天神たかてんじん落城の際、徳川家康は内藤信成らを国安に陣取らせ、高天神城から敗走する武田勢を討ったという(家忠日記増補追加)

国安村
くにやすむら

[現在地名]東予市国安

周桑しゆうそう平野北部を流れる大明神だいみようじん川の中流右岸に位置し、北はくわ村、南は新市しんいち村に接する。標高一〇―二〇メートルの国安扇状地の末端にある。

慶安元年伊予国知行高郷村数帳(一六四八)桑村くわむら郡の項に「国安村 日損所」とみえ、村高は一千五一石一斗六升四合、うち田方七六五石六斗五升四合、畑方二八五石五斗一升とある。「松山領里正鑑」によると明和二年(一七六五)まで松山藩領であったが、この年上地を命ぜられた桑村郡一〇ヵ村の一つで、以後、明治に至るまで幕府領の村であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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