国母(読み)こくも

精選版 日本国語大辞典 「国母」の意味・読み・例文・類語

こく‐も【国母】

〘名〙 (「も」は「母」の呉音)
天皇の母。皇太后。正しくは、皇后に立ち、その子が帝位について皇太后になった場合にいう。国の母。こくぼ。
三代実録‐元慶三年(879)三月二五日「今月廿三日、淳和太后崩、既曰国母、可至尊
※とりかへばや(12C後)中「こくものくらゐにきはめ給ふべきさう、おはせし人なり」
② (国民の母の意で) 皇后。きさき。こくぼ。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「容貌(かたち)描きならぶる絵師に、六人のこくもは、千両黄金を贈る」

こく‐ぼ【国母】

〘名〙
平家(13C前)七「国母(コクボ)〈高良本ルビ〉建礼門院御同輿にまゐらせ給ふ」
② =こくも(国母)②〔魏書‐張普恵伝〕

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デジタル大辞泉 「国母」の意味・読み・例文・類語

こく‐ぼ【国母】

こくも(国母)

こく‐も【国母】

天子の母。皇太后。こくぼ。
《国民の母の意から》皇后。こくぼ。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「国母」の解説

国母
こくぼ

「こくも」とも。天皇の生母。皇后であり,なおかつその子が天皇となった皇太后をいう。初見は「三代実録」元慶3年(879)3月25日条で,淳和(じゅんな)天皇の皇后正子(せいし)内親王が国母といわれたという。のち国母には女院号が与えられるようになった。

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普及版 字通 「国母」の読み・字形・画数・意味

【国母】こくぼ

皇后。

字通「国」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の国母の言及

【女院】より

…このように院号宣下の基準がしだいに緩められて,ついに足利義満の妻藤原康子が,皇親でも後宮でもないが准三宮の処遇をうけ,後小松天皇の准母を資格にして,1407年(応永14)3月北山院の院号宣下を被る異例を生じた。以上のごとく女院号宣下にはさまざまな形態を生じたが,資格の点から大別すると,天皇の母后(国母)で后位にある場合,国母でないが后位にある場合,国母でないが准后宣下を被っている内親王の場合,国母であるが出自が低いなどの理由で立后されなかったが,准后宣下を被っている場合の4形式に分けられる。 院号宣下の時期は,東三条院や上東門院のごとく出家に当たって宣下された例もあるが,以後は必ずしも特定されず,没日に〈御存生之儀〉をもって院号を下された京極院(亀山天皇皇后)や後京極院(後醍醐天皇皇后。…

※「国母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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