文化人類学などに関する調査研究を行い、世界の諸地域の文化について理解を深めることを目的とした世界最大級の民族学博物館。1974年創設、77年開館で、初代館長は民族学者の故
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国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人人間文化研究機構を構成する研究機関。大阪府吹田(すいた)市の万国博記念公園内に所在する、文化人類学・民族学に関する研究・教育拠点である。1974年(昭和49)に発足し、1977年に開館。2004年(平成16)に法人化され、人間文化研究機構の構成機関となった。英語名はNational Museum of Ethnology、略称は民博。「みんぱく」と表記されることが多い。初代館長は梅棹忠夫(うめさおただお)。
国立民族学博物館は、博物館機能を有する研究所、資料をデータベース化し蓄積・公開する情報センター、最先端の研究成果を講演会・映画会・ワークショップを通じて社会に還元する市民教育機関など、多様な機能をもつ。また、総合研究大学院大学をもち、文化科学研究科のもと、地域文化学専攻と比較文化学専攻の2専攻が設置され、次世代の専門家の育成に努めている。
博物館展示は地域展示と通文化展示から構成される。地域展示はオセアニア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、それに日本を含むアジア各地域に分け、衣食住の生活用品を中心に各地域の人々の暮らしがわかる構成になっている。通文化展示では音楽と言語という特定のジャンルを取り上げて、世界の民族文化を通覧する。本館企画展示場や特別展示館では、期間を限って、現代的な問題や最先端の研究成果など個別のテーマを取り上げた展示を行う。これまで「多みんぞくニホン─在日外国人のくらし─」(2004)、「世界の織機と織物─織って!みて!織りのカラクリ大発見」(2012)など、ユニークな企画展・特別展が行われてきた。
また、「ビデオテーク」とよばれる映像アーカイブでは数百本の映像番組を自分で選択して視聴することが可能。その映像を通じて、展示物が実際に用いられているようすを確認することができる。
[落合知子 2018年5月21日]
世界の諸民族の資料を収集・保管し,民族学に関する調査・研究を行うとともに,その研究の成果を一般に展示することを目的に,1974年6月に設立された研究機関。制度的には文部省直轄の国立大学共同利用機関の一つとして位置づけられ,民族学の研究センター,情報センターとしての役割を有している。
大阪の北部,吹田市千里万博記念公園に建設され,77年秋に展示場の一部を一般に公開した。その後,展示場,講堂,収蔵庫などを増築し,83年末現在(以下同じ),建物の延面積は3万8580m2。オセアニア,アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,西アジア,東南アジア,東アジア(朝鮮半島,中国,日本)の各地域の民族文化の展示と,世界の言語,音楽についての展示を行っている。またこの博物館が開発した独自のシステムとして,多数のビデオ,音楽番組の中から見学者が自由に選択して視聴できるビデオテーク(映像・音響自動送出装置)がある。現在,この博物館には国の内外から収集した生活用具や生産用具,祭祀用具など各種の標本資料が約12万2000点収蔵されているほか,民族学関係の図書・文献資料が約20万2000冊,レコード,テープ,フィルムなどの映像・音響資料が約3万3000点保管され,研究や展示の資料としてひろく利用されている。研究活動は五つの研究部に属する60余名の教官を中心とし,それに国内外から招いた客員研究員や館外の多数の共同研究員が加わって行われている。年に数回,国際シンポジウムが催され,海外への研究調査も盛んである。またコンピューターを使っての情報検索や資料分析がすすめられている。研究成果は《国立民族学博物館研究報告》(年4回)および《Senri Ethnological Studies》(不定期)として刊行されるほか,各種の出版物が刊行されている。また〈民博ゼミナール〉などの市民講座も定期的に開催されている。年間の入館者は約50万人。2004年国立歴史民俗博物館,国文学研究資料館,国際日本文化研究センターなどとともに大学共同利用機関法人・人間文化研究機構となった。
執筆者:佐々木 高明
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世界の諸民族に関する資料収集・研究調査と,その成果を展示・公開する民族学研究博物館。1935年(昭和10)以来の日本民族学会の強い要望と日本学術会議などの勧告にもとづき,大阪府吹田市千里の日本万国博覧会跡地に建設され,77年に開館。国立大学共同利用機関として設立されたが,その後大学共同利用機関となり,博士課程のみの大学院も設置された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
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