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国際原子力事象評価尺度 こくさいげんしりょくじしょうひょうかしゃくど International nuclear event scale; INES

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国際原子力事象評価尺度
こくさいげんしりょくじしょうひょうかしゃくど
International nuclear event scale; INES

原子炉施設における故障やトラブルについて,国際的に統一された尺度。各国で評価がまちまちでは混乱を招くので,IAEA (国際原子力機関) と OECD・NEA (経済協力開発機構原子力機関) が検討,試験運用の成功をみたうえで,1992年3月,各国に採用を提言した。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

国際原子力事象評価尺度

原子力施設や放射性同位元素を取り扱う施設等で発生したトラブルの深刻度を示す国際指標。1992年3月「国際原子力機関(IAEA)」が、「経済協力開発機構(OECD)」の専門機関である「原子力機関(NEA)」と共同で策定し、日本も同年8月から運用を始めた。
当初は発電用の原子炉が対象だったが、その後、原子力施設全般、放射性同位元素等の使用・保管・廃棄等を行う施設も対象となり、さらに2010年4月からは施設外の運搬にかかわる事業も含められることになった。こうした適用範囲の拡大は「INESユーザーズ・マニュアル」の追加・改訂に基づく。
評価の観点は、(1)人と環境への影響(ヨウ素131等の放射性物質の外部放出)、(2)所内への影響(炉心の損傷・施設の汚染)、(3)深層防護の劣化(運転制限範囲の逸脱)の3つ。これをもとに影響の度合いを総合的に検討し、「レベル0~7」の8段階に分類評価する。レベル0は尺度以下(deviation)、レベル1~3は「異常な事象(incident)」、レベル4~7は「事故(accident)」と規定されており、これまでチェルノブイリ原発事故(1986年)がレベル7(深刻な事故)、スリーマイル島原発事故(79年)がレベル5(所外へのリスクを伴う事故)、東海村のJCO臨界事故(99年)がレベル4(所外への大きなリスクを伴わない事故)と評価されている。
国内でトラブルが発生した場合、事業者は即座にその状況を原子力安全・保安院(経済産業省)に報告しなければならない。原子力安全・保安院は、INESによる暫定評価を行い、レベル2以上の事象・事故や、国際的な関心が高い事象の場合には、原則として24時間以内にIAEAへ報告する。加盟各国には、IAEAを通して通知・公表される。ただし、これはあくまで暫定評価であり、最終的な評価は、詳細な調査による原因究明や再発防止策が確定した後、約10名の専門家から成る「INES評価小委員会」によって行われる。同委員会は総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会に設置され、近年は年4回開かれている。委員長は、関村直人・東京大学大学院教授(2011年4月現在)。
なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故・トラブルの暫定評価について、当初レベル4という見方が示されたが、大量の放射性物質が放出されている状況等を踏まえ、その後レベル7まで引き上げられた。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

こくさい‐げんしりょくじしょうひょうかしゃくど〔‐ゲンシリヨクジシヤウヒヤウカシヤクド〕【国際原子力事象評価尺度】

原子力発電所などで発生した事故・異常による影響の程度を表す指標。国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)が策定したもので、施設外に放出される放射性物質の量や施設内の汚染、原子炉・安全設備の損傷の度合いなどによって、レベル0~7の8段階で示される。INES(International Nuclear and Radiological Event Scale)。
[補説]チェルノブイリ原発事故はレベル7、スリーマイル島原発事故はレベル5と評価された。平成23年(2011)3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原発事故は、発生当初、暫定的にレベル4と評価されたが、約1か月後にレベル7に引き上げられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際原子力事象評価尺度
こくさいげんしりょくじしょうひょうかしゃくど
International Nuclear Event Scale

原子力発電所や放射性同位元素を扱う施設で起きた事故などのトラブルの深刻度を示す国際指標。略称INES(イネス)。国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)が共同で策定し、1992年から各国に採用するよう勧告している。日本は1992年(平成4)8月から採用・運用を始めた。レベル7からレベル0まで8段階あり、数字が大きくなるほど重大な事故であることを示す。放射性物質の外部放出、炉心損傷、施設内の汚染、防護施設の劣化状況などを基準に尺度を決めており、レベル7~4は「事故」(accident)、レベル3~1は「異常な事象」(incident)、レベル0は「尺度以下」(deviation)と規定されている。
 国際原子力事象評価尺度の対象は、原発などの原子力関連施設や放射性同位元素の使用・保管施設のほか、原子力に関連した物質の運搬にかかわる事業も含まれる。トラブルが発生し、国際原子力事象評価尺度が暫定的にレベル2以上と評価された場合、各国政府は原則として24時間以内に国際原子力機関へ報告しなければならない。国際原子力機関は加盟各国に通知するとともに、トラブル現場へ調査団を派遣し、事故や施設破損状況、放出された放射線量などを測定して国際原子力事象評価尺度を決める。
 1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故は放射性物質が大量に外部放出したため、最悪のレベル7(深刻な事故)と評価されている。1979年のアメリカのスリー・マイル島原発事故はレベル5(広範囲な影響を伴う事故)、1999年(平成11)の東海村臨界事故はレベル4(局所的な影響を伴う事故)、1995年のもんじゅナトリウム漏洩(ろうえい)事故はレベル1(逸脱)と評価されている。2011年(平成23)の福島第一原子力発電所事故は当初レベル4という見方があったが、大量の放射性物質が外部放出しており、チェルノブイリ原発事故と同じレベル7に引き上げられた。また、2013年夏に発覚した福島第一原発における高濃度放射能汚染水が貯水タンクから漏れた事故について、日本の原子力規制委員会は、当初レベル1としていた暫定評価をレベル3(重大な異常事象)に修正した。[編集部]

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