共同通信ニュース用語解説 「東海村臨界事故」の解説
東海村臨界事故
1999年9月30日午前10時35分ごろ、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で、大量のウラン溶液を沈殿槽に投入して臨界が発生。翌10月1日午前6時15分ごろに臨界は終息したが、大量被ばくした作業員3人のうち2人が急性放射線症で死亡。救助活動をした消防隊員や周辺住民ら約660人も被ばくした。
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1999年9月30日午前10時35分ごろ、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で、大量のウラン溶液を沈殿槽に投入して臨界が発生。翌10月1日午前6時15分ごろに臨界は終息したが、大量被ばくした作業員3人のうち2人が急性放射線症で死亡。救助活動をした消防隊員や周辺住民ら約660人も被ばくした。
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1999年(平成11)9月30日午前10時35分ごろ、茨城県東海村の核燃料加工施設(JCO、旧日本核燃料コンバージョン)で発生した重大な臨界事故。3人の作業者がそれぞれ18.4、10.4、2.53シーベルトの大量被曝を受けた(人間の致死線量は約7シーベルト)。事故は、高速増殖炉開発のための実験炉である「常陽」の18.8%高濃縮ウラン溶液を取り扱う作業中に発生した。効率をあげるためマニュアルに反して沈殿槽に限度を超えたウラン溶液を注入した結果、臨界超過状態が発生し、いわば「裸の原子炉」が出現してしまったのである。JCOは臨界事故の発生を想定していなかったため、作業者に対する教育・訓練もなされておらず、中性子測定器も緊急事態対策計画も準備されていなかった。事故の5時間後に半径350メートル以内の住民に対する避難勧告が出されたが、その間の被曝は公衆に対する年間線量限度(1ミリシーベルト)を超えていた。被曝のほぼ半分は、超臨界状態が出現した直後の25分間に起こり、中性子反射体の役割を果たしていた沈殿槽の冷却水を抜き、中性子を吸収するホウ素剤を注入して臨界を脱するまでにほぼ20時間を要した。施設周辺の土からはヨウ素131などの放射性核分裂生成物が検出されたが、幸い汚染は深刻なレベルではなかった。しかし、風評被害を含めて、茨城県産の農作物は深刻な打撃を受けた。また、時の経過とともに、ずさんな管理体制がつぎつぎと明らかになった。さらに1999年12月、2000年(平成12)4月には懸命の治療にもかかわらず大きな被曝を受けた作業者2人が相次いで死亡、原子力発電の安全性に対する社会的な信頼を大きく揺るがすこととなった。この事故をきっかけとして、原子力防災体制の整備を目ざす「原子力災害対策特別措置法」が1999年12月に成立、2000年6月に施行された。
[安斎育郎]
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(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
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