国家間における債務の最終的な決済手段として一般的に受領され,また対外決済のための公的準備として保有されるような流動資産を指し,通常は通貨当局の保有する金および外国為替とSDR保有額ならびにIMFにおける準備ポジションを含むものと定義される(〈外貨準備〉の項参照)が,広義には民間が保有する流動的外貨資産や通貨当局の借入能力等を含めることもある。IMFからの条件付き借入可能額を条件付き流動性と呼ぶのはその一例である。
世界全体としての国際流動性の供給(総額ならびに各種準備資産の構成)がどのように決定されるかは,国際通貨制度上の重要な問題である。第2次大戦後1960年代末までは,金と外国為替(米ドルおよび英ポンド)が主要な準備資産であったが,世界貿易の拡大に伴う国際流動性の需要は主としてドル残高の増大によって賄われ,そのことがブレトン・ウッズ体制を崩壊させる原因となった。また,71-73年の国際通貨制度の混乱期には過剰な国際流動性が世界的インフレーションの重要な原因となっている。70年代半ば以降も外国為替が実質的には国際流動性の供給源であった(金の公定価格の廃止により,市場価格で評価した金の価値は大きく変動しているが,保有量に大きな変化はみられない)。しかし,80年代に入って金を除く国際流動性の増加率は低下し,国際流動性の不足に悩む非産油発展途上国が民間金融市場からの債務を累積するという問題が生じている(〈累積債務〉の項参照)。国際的管理下にあるIMF関連の準備資産の割合は低く,インフレーションやデフレーションをもたらさない国際流動性の供給管理をどうするかは,引き続き重要な課題として残されている。
執筆者:天野 明弘
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…一国の通貨当局が国際収支の赤字を決済し,または外国為替市場へ介入するために容易に利用できる流動的な資産をいう。IMF(国際通貨基金)の統計では国際流動性international liquidity,また日本の統計では外貨準備高と呼ばれ,概念的には同じものであるが,通貨当局の金保有分の評価のしかたにより計数が異なることがある。外貨準備に含められる金融手段は,通貨当局が使用の必要を感じた際に直接的かつ効果的に管理できる現存の資産に限られ,通貨当局の保有する金および外国為替と,SDR(IMFの特別引出権)保有額ならびにIMFにおける準備ポジションを計上するのが普通である。…
…ここで注意すべきは,ドル危機の認識についてアメリカと欧州諸国とで大きく異なっていたことである。アメリカはドルに対する信認の低下を認めず,むしろ国際通貨問題の中心は国際流動性の供給方法の改善にあると主張した。これに対し欧州諸国は,ドルの危機の原因をドルに対する信認の低下に求めた。…
…一国の通貨当局が国際収支の赤字を決済し,または外国為替市場へ介入するために容易に利用できる流動的な資産をいう。IMF(国際通貨基金)の統計では国際流動性international liquidity,また日本の統計では外貨準備高と呼ばれ,概念的には同じものであるが,通貨当局の金保有分の評価のしかたにより計数が異なることがある。外貨準備に含められる金融手段は,通貨当局が使用の必要を感じた際に直接的かつ効果的に管理できる現存の資産に限られ,通貨当局の保有する金および外国為替と,SDR(IMFの特別引出権)保有額ならびにIMFにおける準備ポジションを計上するのが普通である。…
※「国際流動性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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