1974年11月に国際連合の主催で開催された国連食糧会議(世界食糧会議)において、先進国と産油国との協力の下に、開発途上国の農業生産拡大のために緩和された条件で資金協力を行うことを目的とする基金の設立が決議され、77年11月30日に15番目の国連の専門機関として発足した。略称IFAD。本部はローマに置かれ、2000年現在で加盟国は161か国である(日本は原加盟国)。同じ国連の専門機関である国連食糧農業機関(FAO(ファオ))が食糧および農業に関する情報収集などの間接援助を主たる目的としているのに対し、IFADは食糧生産の増大、農業開発、農村住民の生活水準の向上、飢餓の追放などのために直接融資を行う事業的機関としての性格を有している。さらにIFADは、新国際経済秩序を背景に新しく創設された国際機構であるため、先進国に有利な加重投票制が排され、主要機関である総務会、理事会では、先進国、産油国、開発途上国がそれぞれ3分の1ずつの投票権を有し、平等参加権が確保される仕組みとなっている。
[横川 新]
『位田隆一「国際農業開発基金――機構と機能」(『岡山大学法学会雑誌』第32巻第3・4号所収・1983・岡山大学)』
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