国際関係の社会学(読み)こくさいかんけいのしゃかいがく(英語表記)sociology of international relations

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際関係の社会学
こくさいかんけいのしゃかいがく
sociology of international relations

特殊社会学の一部門。ときには国際社会学international sociologyとか、国際政治の社会学sociology of international politicsともよばれている。従来の国際政治学は、国家を構成主体とする国家間関係を国際関係とみなし、国家間の相互作用過程を、主として各国家の政治過程、すなわち各国の対外政策決定過程の研究に焦点をあわせてきたのであって、より広義の国際関係を分析の視点に据える国際関係の社会学とは区別されなければならない。
 国際関係の社会学は、広義の国際関係に社会学的原理や概念枠を適用するものであって、現実存在的な国際社会体系の構造および変動の認識を目的とする特殊社会学の部門である。それは、多元交錯的な社会事象のなかから、世界的規模における結合、すなわち国際社会体系international social systemを抽出し、その構造、変動を明らかにすることをねらいとしている。したがってそれは、当然にその内部体系としての国家、国家行為および国家関係の構造、機能、過程、契機、結果などの分析をその部分的課題として包摂しなければならない。また、このような部分的形象をめぐる政治科学と社会学との交差領域の問題をも、一つの分析的課題として取り入れなければならない。アメリカのローズA. M. RoseやゾンダーマンF. A. Sondermanらは狭義の国際社会学を構想しており、日本の岡村久雄や馬場伸也らは国際社会の認識学としての広義の国際社会学を主張している。
 国際社会体系の構造を理論枠に整序しようとする場合、三つの主要な課題を抽出することができる。第一は、一つの巨大な集団体系group systemであって、そのなかに下位体系として、人種、民族、国民、村落、都市といった基礎的集団体系、および国家、数個の国家といった機能的集団体系を包括しうる。第二は、国際社会を個々の人格と集団の営為である国際的行為international behaviorとして、および国際的諸関係international relationsの過程としてみようとするものである。第三は、一つの極限的な文化的統一体であって、集団的下位体系としての基礎社会に密着しながら属地的、部分的なものとして存立し、他面、質量両面の交差を示しながら国際的な行為様式として実在するものである。いわゆる国際文化international cultureといわれるものがこれである。そしてこれらの諸体系ないしは国際社会体系は、けっして固定不変ではなく、内的諸体系の変動によって絶えず変化を遂げ、新たな枠組みと特性に向かって流動し続ける。したがって、国際社会体系の構造と変動の分析が、国際関係の社会学の主たる課題となるであろう。
 その具体的な研究課題は、論者によって異なるが、これまでのところ次のようなものである。(1)それぞれの国家に特徴的な組織、構造と政策決定をめぐる利益集団と作用、およびその運用におけるエリートの役割の問題、(2)国家間のコミュニケーションの問題、(3)国際法社会学、(4)人種・民族・国民集団体系、(5)比較社会・政治・文化体系、(6)国際経済問題、(7)国際的緊張関係(戦争と平和の問題)。[高島昌二]
『岡村久雄著『国際社会体系論』(1968・地球出版) ▽武者小路公秀・蝋山道雄編『国際学』(1976・東京大学出版会) ▽馬場伸也著『アイデンティティの国際政治学』(1980・東京大学出版会)』

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