在日アメリカ軍(読み)ざいにちアメリカぐん(英語表記)U.S.Forces,Japan; USFJ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「在日アメリカ軍」の意味・わかりやすい解説

在日アメリカ軍
ざいにちアメリカぐん
U.S.Forces,Japan; USFJ

日米安全保障条約6条および日米地位協定に基づいて日本国内に駐留するアメリカ軍。単一の部隊ではなく,駐留しているアメリカ陸軍海軍空軍・海兵隊の総称である。1952年4月28日,日本は対日講和条約により独立し,同時に日米安全保障条約が発効,日本にポツダム宣言を履行させるため進駐していた占領軍(→対日占領)が駐留軍としてとどまることとなった。当初の人員は約 26万,施設は 2824ヵ所,土地面積は約 13億5300万m2補給基地としての機能に重点がおかれ,湾岸戦争に際しては中東へ出動した多国籍軍燃料・弾薬貯蔵施設を供用した。今日の兵力は陸軍約 2500,海軍約 1万8800,海兵隊約 1万7200,空軍約 1万2500の計約 5万1000(2012.9現在),施設の件数は 82,土地面積は 3億623万m2で,面積の約 7割を沖縄県が占める(2015.3現在)。日本政府は維持費として 1978年から在日アメリカ軍駐留経費負担思いやり予算)を支出している。
在日アメリカ軍司令部は東京都の横田基地に置かれ,その司令官太平洋統合軍の第5空軍司令官が兼務し,日本の防衛支援の諸計画を立案し,在日アメリカ陸軍・海軍の司令官に対し調整権をもつ。司令部を神奈川県のキャンプ座間に置く陸軍は,実戦部隊が撤退し,管理・補給・通信を主任務とする部隊がキャンプ座間と沖縄県のトリイ通信施設,嘉手納飛行場に駐留する。司令部を神奈川県の横須賀海軍施設に置く海軍は,西太平洋とインド洋を任務区域とする第7艦隊への支援をおもな任務とする。第7艦隊の兵力は,司令部が揚陸戦指揮艦『ブルーリッジ』(→ブルーリッジ級揚陸戦指揮艦)上にあるため在日アメリカ軍に含まれない。神奈川県の厚木飛行場は第7艦隊の艦載機の修理・訓練基地であり,青森県の三沢飛行場と嘉手納飛行場には哨戒機が,長崎県の佐世保海軍施設には揚陸艦が配備されている。空軍は司令部を横田基地に置き,嘉手納飛行場と三沢飛行場に各 1個戦術戦闘航空団を配備している。海兵隊は司令部を沖縄県のキャンプ・コートニーに置き,同地に第3海兵機動展開部隊を,山口県の岩国飛行場に第12海兵航空群を配備している。沖縄県の第3海兵師団は,アメリカの保有する 3個の実動海兵師団のうち唯一の国外駐留部隊として高度の即応態勢を整え,その任務区域は西太平洋とインド洋の全海域に及ぶ。

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