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多国籍軍 たこくせきぐん multi-national force

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

多国籍軍
たこくせきぐん
multi-national force

複数国の参加を得て行なわれる軍事行動,特に国際連合強制措置平和維持活動に類似した行動に従事する軍隊。1982年にはパレスチナ解放機構 PLO武装部隊のベイルート撤退監視などのため,レバノン政府の要請を受けて計 7ヵ国 8000人が,1990~91年の湾岸戦争の際にはアメリカ軍を中核とした 29ヵ国 70万人以上が,そして 1992年ソマリア内戦に起因する飢餓救済のためにアメリカ軍を中心に約 20ヵ国 3万人が派遣された。

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知恵蔵2015の解説

多国籍軍

国連安保理武力行使を容認した決議に呼応し、複数国が自主的に兵員を派遣して編成する国際軍。国連軍(安保理と加盟国の特別協定により加盟国が兵員を提供)、国連平和維持軍(事務総長が指揮)は、多国籍軍とは呼ばない。湾岸戦争の際、安保理決議678に呼応し、イラク軍と戦った米軍主導の国際軍に対し、国連から正当性を付与された武力行使であることを強調する言葉として、初めて広く使われた。またイラク戦争では、2003年3月、安保理の容認なしに米英などが武力行使したが、同年10月安保理決議1511は、多国籍軍によるイラクの治安維持を認めた。これは湾岸戦争の時と違って、安保理による事後的な既成事実の追認。この曖昧(あいまい)な追認によって、これまでのところ、多国籍軍は国連のお墨付きが必要という形式を保っている。したがってイラク戦争の開戦当初、米英軍は多国籍軍と自称できず有志国家から軍隊を募ったとして「有志連合軍(coalition of the willing)」と呼び、国連決議を得られなかった正当化の失敗を補おうと試みた。安保理決議の内容は、多国籍軍への授権範囲等が不明確なことも多い。また決議の内容により、多国籍軍は、参加国や受け入れ国の指揮下に置かれる、などのため、その作戦や撤退などに、国連のコントロールが及ぶ範囲は限られる。それらは固有の軍をもたない国連の正当化機能と多国籍軍の正当性の曖昧さのあらわれである。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

多国籍軍

字義通りに言うならば複数の国々の軍隊からなる国際軍だが、より狭く、国連安保理によって設置され、武力行使権限を授けられたものを指すこともある。広く使われ始めたのは1991年の湾岸戦争の際、米国とその同盟軍を指した時からだが、米国自身は基本的に「同盟軍(coalition force)」と呼んでおり、それに武力行使を許可した安保理決議678(90年11月29日)にも「多国籍軍」の語はない。当時は一定の政治的意図を持って用いられていたものと思われる。その後、国連自身が本格的な武力行使を行うことが難しいという事情もあり、場合によっては実戦に従事しなければならないような、平和維持活動を超える軍事行動については、任務を一定の国々に委ねる事例が増えた。授権がはっきりしないものや、事後承認的な授権もあるが、それらをすべて含めると湾岸戦争後15例前後ある。そのうちいくつかは安保理決議でも「多国籍軍」と呼ばれているが、常にそうしているわけではない。平和維持軍と異なり、固有の名称(例えば「国連スーダン派遣団」)は持たず、兵員規模なども兵力派遣国に任せられる。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

たこくせき‐ぐん【多国籍軍】

国連安全保障理事会の決議により、軍事的強制措置を取るために加盟諸国が派遣する軍隊。1991年湾岸戦争の際の米国を中心として編制された例などがある。→国連軍

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大辞林 第三版の解説

たこくせきぐん【多国籍軍】

複数の国が合同で編制する軍隊。基本的に国連安全保障理事会の決議に基づくものをいうが、国連軍とは異なる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

多国籍軍
たこくせきぐん
Multi-national Force

アメリカとその同盟国が自国の国益に沿って編成したアメリカ主導の合同軍。派遣軍の編成にあたっては、その正当性を国連に求め、軍事介入に資するため成立を図った安全保障理事会決議の実効性を確保することを名目にしているが、もとより国連軍United Nations Forceではない。国連軍は国連憲章第7章42条、43条の規定により「国際の平和および安全の維持または回復」のため、安保理決議に基づいて派遣され、指揮系統や兵力の運用などが安保理メンバーで構成される軍事参謀委員会のもとに一元化される。これに対して多国籍軍は、参加国自らの責任で派遣されるもので、指揮系統なども国連とは無関係である。
 1990年、イラクのクウェート侵攻に端を発した湾岸戦争で派遣された多国籍軍は、対イラク経済制裁などの安保理決議の実効性確保を名目に、アメリカが同盟国や友好国に軍事的・財政的協力を強く求め、アメリカ軍50万人を中核にイギリス、フランスのほか湾岸諸国、エジプト、シリアなど28か国、計約70万人が加わった。日本政府は、人的支援は憲法上できないとしながらも、後方支援のための自衛隊の派遣を画策したが果たせず、総額130憶ドルの財政支援と海上自衛隊掃海部隊のペルシア湾派遣を行った。
 また1992年12月、ソマリアでも湾岸と同じようにアメリカ主導の多国籍軍を編成した。こうした地域紛争を武力で解決しようとするアメリカのやり方には、「軍事大国の横暴」「武力による平和の押し売り」として国際世論の厳しい批判がある。[奥野保男]
『川上洋一著『国連を問う』(1993・NHKブックス) ▽河辺一郎著『国連と日本』(岩波新書) ▽最上敏樹著『国連システムを超えて』(1995・岩波書店)』

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