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地下水汚染 ちかすいおせんgroundwater contamination

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地下水汚染
ちかすいおせん
groundwater contamination

地下水中に物質が通常でない濃度で存在していること。きれいで,おいしい水として飲料水などに利用されてきた地下水が,近年,さまざまな化学物質によって汚染されていることが明らかとなった。特に揮発性有機塩素化合物や硝酸態窒素による広範な汚染が,環境省の調査で見いだされている。汚染原因として,化学物質の不適切な取り扱い,廃棄物の埋め立て処分,排水の地下浸透,農薬の散布などがあげられている。このため,有害物質の取り扱いの制限,それを含む排水の地下浸透の禁止などの汚染防止対策が実施されている。しかし,地下水は流れが遅く,汚染が長期間継続するため,汚染地下水の浄化が重要な課題となっている。

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知恵蔵の解説

地下水汚染

地球上の淡水資源の大半を占め、世界人口の4分の1、約15億人が、日本でも国民の4分の1、約3000万人が飲料水の水源としている地下水が有害物質などで汚染されること。1970年代後半に半導体工場が集中する米国カリフォルニア州のシリコンバレーで、半導体の洗浄に使う揮発性有機化合物(VOC)による地下水汚染が発生した。この地下水を飲用していた付近住民に流産や先天性奇形などの健康被害が引き起こされ、ハイテク産業による地下水汚染として「ハイテク汚染」とも言われた。80年代には日本でも、兵庫県の東芝太子工場、千葉県君津市の東芝コンポーネント君津工場などで、VOCによる地下水汚染が発生。その後、全国各地のハイテク産業立地都市で次々と発覚した。千葉県や神奈川県秦野市などは、地下水汚染防止条例を制定。環境庁(当時)も89年に地下浸透禁止の水質汚濁防止法改正、91年の土壌環境基準の設定、94年に「土壌・地下水の調査・対策指針」の策定、97年の地下水環境基準の設定、2003年の土壌汚染対策法施行などで対応した。このほか農業用肥料の過剰施肥による硝酸性窒素類による地下水汚染も80年代以降、農村部や離島などで多発している。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

地下水汚染【ちかすいおせん】

ハイテク産業で多く使われる有機溶剤が貯蔵タンクなどからもれ,地下に浸透して引き起こす公害。環境庁は1982年度以降毎年,全国の地下水の水質汚染実態調査を実施している。第1回の1982年度は全国15都市の井戸1360本について18物質の測定を行い,28%の井戸からトリクロロエチレンが,27%からテトラクロロエチレンが検出された。1983年12月,兵庫県太子町にある東芝工場のIC洗浄工程の建物からトリクロロエチレンがもれて付近の民家の井戸水を汚染していることが分かった。また1988年には千葉県君津市でIC工場に貯蔵されていた溶剤がもれ,地下水中に含まれるトリクロロエチレンが水道水の暫定水質基準の2000倍を超えていた。トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンが水道水の水質暫定基準を超えている井戸は環境庁の地下水汚染実態調査の結果,調査対象の2〜3%を占めている。1989年6月,ハイテク工場による地下水汚染を防ぐため,水質汚濁防止法の改正により規制が強化された。
→関連項目環境事業団ハイテク公害

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