日本大百科全書(ニッポニカ) 「地域保健法」の意味・わかりやすい解説
地域保健法
ちいきほけんほう
保健所法の新名称。1994年(平成6)6月の改正で変更になった。地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持および増進に寄与することを目的としている。具体的には、保健センターを全市町村に拡大し、従来保健所と市町村がそれぞれ提供してきた地域保健サービスを一元化し、市町村保健センターが実施するようにした。また、これからの地域保健のあり方として、(1)生活者を重視、(2)身近な保健行政は市区町村へ移す、(3)保健所の位置づけを新たに行い機能を強化、(4)地域保健マンパワーを強化、などをはかることとしている。
2000年3月に「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」が策定され、2010年を目ざして健康づくり運動が始まった。その基本方針は一次予防の重視である。さらに2002年8月には「旧・栄養改善法」を引き継いだ「健康増進法」が制定され、生活習慣病を防ぐための栄養改善だけでなく、運動や飲酒・喫煙などの生活習慣の改善を通して健康増進を図る考えに立った保健活動を展開することとなった。さらに2005年から「健康フロンティア戦略」が進められてきたが、2007年からはそれをさらに発展させる「新・健康フロンティア戦略」を10か年計画として発足させた。こうした健康づくりの流れのなかで現在最も重視されているのが「肥満」であり、今後の生活習慣病対策の中核は「メタボリックシンドローム」対策である。このため、2007年4月には地域保健を含む保健指導対策の効果的・効率的な実施のために健診データを有効的に活用する保健指導内容を柱とした「標準的な健診・保健指導プログラム」を定め、2008年から開始した医療制度改革大綱に盛り込んだ。
[吉川武彦]