メタボリックシンドローム(読み)めたぼりっくしんどろーむ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

メタボリックシンドローム
metabolic syndrome

心臓病(→虚血性心疾患)や糖尿病脳卒中や特定の種類のを引き起こす危険性の増大と関連があるとされる,脂質代謝に異常をきたしている病態。1988年,アメリカ合衆国の内分泌学者で,インスリン抵抗性を冠状動脈性心疾患 CHD(→冠状動脈硬化症)の主要危険因子として特定したジェラルド・リーベンが,こうした状態をシンドロームXと名づけ,当初はそう呼ばれた。メタボリックシンドロームの診断基準値は国ごとに独自に設定される。日本では 2005年以降,腹囲が男性 85cm以上,女性 90cm以上であり,(1) 高トリグリセリド血症 150mg/dl以上かつ,または,低HDL-C(コレステロール)血症 40mg/dl未満,(2) 収縮期(最大)血圧 130mmHg以上かつ,または,拡張期(最小)血圧 85mmHg以上,(3) 空腹時高血糖 110mg/dl以上,のうち 2項目以上に該当する場合,と定められた。日本人の死因の 3分の1を占める心臓病と脳卒中の原因とされる動脈硬化(→動脈硬化症)を進行させる危険因子には高血圧(→高血圧症),喫煙,糖尿病,脂質異常症(→高脂血症),肥満(→肥満症)などがあり,それぞれの程度が低くても,複数が組み合わさることによって心臓病や脳卒中を引き起こす危険が高まる。そのため 2008年から生活習慣病に着目した特定健康診断・特定保健指導(→健康診断)が義務化され,腹囲の測定が検査項目に加わった。日本では約 27%がメタボリックシンドローム該当者および可能性がある者に該当する。メタボリックシンドロームを起こす大きな要因とみられるインスリン抵抗性を発症すると,組織はインスリンに対して無反応になり,結果としてブドウ糖(→グルコース)を蓄えることができず,血糖値は下がらない。インスリン抵抗性を引き起こす原因は,肥満や進行性脂肪栄養障害症リポジストロフィー),運動不足,遺伝的要素などである。メタボリックシンドロームは,炭水化物や脂肪の過剰摂取など質の悪い食生活によって悪化したり,多嚢胞性卵巣症候群睡眠時無呼吸症候群脂肪肝とも関連があるとされる。中等症者,重症者は薬物治療が必要になることがある。改善には定期的な運動と減量,また不飽和脂肪酸の多い食物をとることが有効である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

メタボリックシンドローム
めたぼりっくしんどろーむ

メタボリック症候群

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる