報い(読み)ムクイ

デジタル大辞泉 「報い」の意味・読み・例文・類語

むくい【報い/酬い】

ある行為結果として身にはね返ってくる事柄善悪いずれについてもいうが、現在では悪い行為の結果についていうことが多い。「悪行の―」
労苦に対するつぐない報酬
「何の―も望まないで」〈木下順二・夕鶴〉
前世の善悪の行為の結果が、現世で現れること。因縁によって果報を受けること。
仕返し。返報
海賊―せむといふなる事を思ふ上に」〈土佐
[類語]応報祟り業報悪報果報とばっちり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「報い」の意味・読み・例文・類語

むくい【報・酬】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「むくいる(報)」の連用形の名詞化 )
  2. ある行為の結果として身にはね返ってくる事柄。善悪いずれについてもいう。
    1. [初出の実例]「使人等が怨、上天(あめ)の神に徹(のほ)り〈略〉時の人称(い)ひて曰く、大倭の天の報(ムクヒ)の近きかなと」(出典:日本書紀(720)斉明七年五月(北野本訓))
    2. 「われを思ふ人をおもはぬむくひにやわがおもふ人の我をおもはぬ〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇四一)
  3. 前世の善悪の行ないがもとで、巡り合わせる現世の果報。因縁(いんねん)によって受ける苦と楽。応報としての結果。
    1. [初出の実例]「なにのむくひにかありけむ、拙き身に、おほけなき心つきて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)あて宮)
  4. ( ━する ) お礼をすること。謝礼。報酬。
    1. [初出の実例]「御身の親切忘れはせで、必らず報酬(ムクヒ)をなすべきに」(出典:狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉二)
  5. ( ━する ) 仕返しをすること。復讐をすること。
    1. [初出の実例]「かいぞくむくいせんといふなることをおもふうへに」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二一日)

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