爆発限界内の組成の塩素と水素の混合物.等モルあるいはそれよりも塩素過剰の混合物に強い光(直射日光,アーク灯,マグネシウムの燃焼など)を照射するか,気体内で火花を飛ばすとはげしい爆発を起こすことは古くから知られている.水素が多くなると爆発は起こりにくくなる.塩素と水素の光化学的結合反応は,非爆発的反応でも純粋な混合物では量子収量は 106 にも達する.その反応機構は,
Cl + H2 → HCl + H (2)
H + Cl2 → HCl + Cl (3)
Cl + X → 連鎖停止 (4)
(Xは O2,その他の不純物)の連鎖機構で進む.光が強くなると反応速度は大となり,ついには爆発に至るが,これは反応熱による反応系の温度上昇だけでは説明できない.上の(2),(3)の反応では1個のCl原子は1個のCl原子を再生するだけであるが,爆発が起こるときには連鎖分岐により,1個のCl原子から2個のCl原子が生成する確率が増すためと考えられる.分岐反応の反応機構はまだ明らかでないが,(3)で生じたHCl分子が,この反応の大きな反応熱のため,エネルギーに富む HCl* 分子となり,これが,
HCl* + Cl2 → HCl + 2Cl
HCl* + HCl* + Cl2 → 2HCl + 2Cl
などの反応で2個のCl原子をつくるという説がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
塩素と水素との等容積混合物。この混合気体は、常温暗所ではほとんど変化はなく、散乱光のもとでゆっくりと反応するだけであるが、加熱したり、紫外線を照射すれば、激しく反応して爆発するのでこの名がある。
これは、塩素分子がエネルギーを吸収して解離し、生じた塩素原子が水素分子と反応して水素原子を生じ、これがさらに塩素分子と反応して塩素原子を生じるというふうにして、反応が繰り返しおこる反応(連鎖反応)として説明される。
連鎖反応は次のようにしておこる。
(1)Cl2―(光)→2Cl
(2)Cl+H2―→HCl+H
(3)H+Cl2―→HCl+Cl
(4)Cl+X―→連鎖停止(XはO2その他の不純物)
(5)H2+Cl2―→2HCl+184.090kJ
[守永健一・中原勝儼]
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