(白石良夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
…律令制において,官人が文書に署名するときなどに,その人の帯びている位階(以下,位という)・官職(以下,官という)・姓・名を,一定の規式にしたがって書くこと,また書いたもの。律令官位制度は1869年(明治2)まで1200年近く行われたので,叙任者にとっては必要な知識であったが,令には基本的な規定しかないため,早くから有職故実の一部として実例を集めて研究・帰納され,その成果は《拾芥(しゆうがい)抄》などに集成されており,江戸時代中期には壺井義知が《位署式私考》《位署難義私考》を著している。公式令の詔書式以下の署名が官・位・姓・名の順であることから,官位相当のときは官・位の順に書くことが判明し,また選叙令に1人で2官以上に任ぜられたときは,一を正官,他を兼官とせよ,官位不相当のとき,官が位より低いときは〈行〉,官のほうが高いときは〈守〉とせよ,と定めている。…
…群書類従本では〈准大臣〉の項が明らかな後筆である。江戸時代の多数の注釈書のうちでは,壺井義知の《職原鈔通考》がもっともすぐれている。《群書類従》所収。…
…降って室町時代に一条兼良は《令抄》を著したが,これも古来の注釈を摘記したものにすぎない。ついで江戸時代に入ると漢学者,国学者の双方による律令研究が盛行し,注釈書を残した者に壺井義知(つぼいよしちか)(1657‐1735),荷田春満(かだのあずままろ),稲葉通邦(いなばみちくに)(1744‐1801),河村秀穎(ひでかい),河村秀根(ひでね),薗田守良(そのだもりよし)(1785‐1840),近藤芳樹などがあるが,依然として研究の中心は解釈学におかれていた。 しかし近代史学の発達とともに,律令の研究はその解釈にとどまらず,多方面にわたって深化した。…
※「壺井義知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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