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推理作家。本名出光(いでみつ)静子。東京生まれ。慶応義塾大学英文科卒業。学生時代から推理小説に手を染め、1957年(昭和32)NHKテレビの推理番組「私だけが知っている」の台本を、鮎川哲也、笹沢左保(さほ)などと執筆。1960年五十嵐(いがらし)静子名の『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補となる。1962年夏樹しのぶ名で「ガラスの鎖」を『宝石』に発表。1963年結婚、以後5年間主婦業に専念。1970年『天使が消えていく』を発表、江戸川乱歩賞と日本推理作家協会賞の候補となる。1972年『蒸発』で日本推理作家協会賞を受賞し、作家としての地位を確立した。1978年刊行の『第三の女』はフランス語訳され(『La promesse de l'ombre』)、1989年(平成1)冒険小説大賞を受賞。トリック構成と女性心理や母性本能の微妙な描写に優れた本格派作家で、湖畔の別荘で起きた殺人事件を描く『Wの悲劇』(1982)はエラリー・クイーンの三部作を意識した野心的な試みであった。同作品は、1984年澤井信一郎(1938―2021)監督で映画化された。以後の作品には『訃報(ふほう)は午後二時に届く』(1983)、『ドーム――終末への序曲』上下(1986)、『ペルソナ・ノン・グラータ』(1989)、『白愁のとき』(1992)、『女優X――伊沢蘭奢(らんじゃ)の生涯』(1993)、『茉莉子』(1999)、『量刑』(2001)などがある。
[厚木 淳]
『『遠い約束』(1977・文芸春秋)』▽『『第三の女』(1978・集英社)』▽『『遥かな坂』上下(1979・毎日新聞社)』▽『『夏樹静子作品集』全10巻(1982・講談社)』▽『『Wの悲劇』(1982・光文社)』▽『『訃報は午後二時に届く』(1983・文芸春秋)』▽『『わが郷愁のマリアンヌ』上下(1986・角川書店)』▽『『ドーム――終末への序曲』上下(1986・角川書店)』▽『『ペルソナ・ノン・グラータ』(1989・文芸春秋)』▽『『白愁のとき』(1992・角川書店)』▽『『女優X――伊沢蘭奢の生涯』(1993・文芸春秋)』▽『『椅子がこわい――私の腰痛放浪記』(1997・文芸春秋)』▽『『茉莉子』(1999・中央公論社)』▽『『量刑』(2001・光文社)』▽『『天使が消えていく』(講談社文庫)』▽『『蒸発――ある愛の終り』(角川文庫)』▽『小松左京著『机上の遭遇』(集英社文庫)』▽『香山二三郎著『日本ミステリー最前線(1) 1983~1988』(双葉文庫)』
(2016-3-23)
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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