六訂版 家庭医学大全科 「外傷性くも膜下出血」の解説
外傷性くも膜下出血
がいしょうせいくもまくかしゅっけつ
Traumatic subarachnoid hemorrhage
(外傷)
どんな外傷か
脳を包んでいる
一般に、くも膜下出血という病名は
原因は何か
通常、脳の表面(脳表)に脳組織の
少量のくも膜下出血が、びまん性軸索損傷(せいじくさくそんしょう)により生じている場合もあります。
症状の現れ方
激しい頭痛や嘔吐、あるいは意識障害などが受傷時から現れます。脳挫傷の局所の症状として、半身の麻痺(
びまん性軸策損傷に伴う場合は意識がなく、重症例では出血は少量であっても、脳の深部にある生命維持中枢(
検査と診断
脳のしわ(
脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血とは、ほとんどの場合でCTの出血のパターンや、外傷で合併する脳挫傷の所見などから区別は可能です。しかし、時には区別のため、脳血管の検査によって脳動脈瘤を診断しなければならないことがあります。
脳血管の検査方法として、MRアンギオグラフィー(血管を映し出すMRI)、3DCTアンギオグラフィー(造影剤を注射してCTを行い、立体的に脳血管を映し出す)、あるいは脳血管撮影(
治療の方法
くも膜下出血を手術で取り除く効果はほとんどないため、手術は通常行われません。出血は自然に吸収されます。
合併する脳挫傷によって頭蓋骨の内側の圧が上昇している場合(
予後は合併する脳損傷(脳挫傷やびまん性軸策損傷)の有無と程度によります。時に脳脊髄液の流れが滞って、あとから外傷性正常圧水頭症(がいしょうせいせいじょうあつすいとうしょう)を来すことがあります。
並木 淳
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報