外記猿(読み)ゲキザル

デジタル大辞泉 「外記猿」の意味・読み・例文・類語

げきざる【外記猿】

歌舞伎舞踊長唄本名題外記節猿」。4世杵屋三郎助作曲。文政7年(1824)初演猿回し屋敷に呼ばれ、めでたい芸を見せる。

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精選版 日本国語大辞典 「外記猿」の意味・読み・例文・類語

げきざる【外記猿】

  1. 長唄。作詞者不詳。十代目杵屋六左衛門作曲。本名題「外記節猿」。文政七年(一八二四)初演。外記節という浄瑠璃正本歌詞を掘り出して作曲したもの。猿回しが邸(やしき)に呼ばれ、猿唄(さるうた)をうたいながら猿を舞わせるという筋。

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改訂新版 世界大百科事典 「外記猿」の意味・わかりやすい解説

外記猿 (げきざる)

歌舞伎舞踊。長唄。本名題《外記節猿(げきぶしさる)》。1824年(文政7)7月,杵屋(きねや)三郎助(のちに10世杵屋六左衛門)が,当時すでに失われていた外記節の復活を目ざして作曲。《石橋(しやつきよう)》《傀儡師(かいらいし)》と合わせて外記節三曲と称し,長唄でも別扱いされる。しかし,外記節の匂いは薄い。猿回しが武家屋敷に呼び入れられて,猿に芸をさせるという内容で,舞踊の振りはのちに付けられ,現在各流が独自に振り付けて盛行。演出は素踊りと狂言風の衣装付の2種に分けられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外記猿」の意味・わかりやすい解説

外記猿
げきざる

長唄(ながうた)の曲名。歌舞伎(かぶき)舞踊の一つ。本名題(ほんなだい)は『外記節猿(げきぶしざる)』。1824年(文政7)初演。作詞者不詳、4世杵屋(きねや)三郎助(10世六左衛門)作曲。17世紀中ごろに流行した「外記節」を復活して取り入れた曲とされている。歌い出しの部分に何か所か浄瑠璃(じょうるり)的な旋律の動きがみられるが、外記節がどの程度復活されたかは疑問である。歌詞の内容は、屋敷の前を通りかかった猿回しが、庭内に呼び入れられて主人の前で芸を披露するというもの。芝居小屋の場面を表す辻(つじ)打ちの太鼓で始まり、「四つ竹の合方(あいかた)」や「宮神楽(みやかぐら)の合方」を入れ、猿が踊る場面ではテンポの早い曲調となる。調弦は、本調子→二上り→本調子。

[茂手木潔子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外記猿」の意味・わかりやすい解説

外記猿
げきざる

長唄の曲名。本名題『外記節猿』。文化7 (1824) 年初演。4世杵屋三郎助 (のちの 10世杵屋六左衛門 ) 作曲。外記節を長唄に取入れながら復活を試みた外記節三曲のうちの一曲。猿回しが芸をさせるという内容で,本調子の辻打ちという前弾きから外記ガカリの猿の出となり,猿の芸の『お染久松』のくだりは宮薗節を借りた聞かせどころ。次に二上り・本調子・二上り・本調子と変化し,猿の舞い納めは外記止めという方法で作曲されている。全曲を通して合方を効果的に配し,上調子もおもしろく,変化のある曲。

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