日本大百科全書(ニッポニカ) 「夢遊」の意味・わかりやすい解説
夢遊
むゆう
somnambulism
sleep walking
夢中遊行(ゆうこう)ともいい、眠っている最中に合目的的な行動をおこすもので、寝ぼけの強いものである。小児の1~6%にみられ、女性より男性に、また6~12歳にもっとも多くみられる。就寝後30分から3時間余りの、睡眠深度の第3、第4段階という深い睡眠時におこり、数分から30分ぐらい持続する。起き出して洋服を着ようとしたり、ドアを開けたり、物を食べたり、入浴しようとしたりする。目は開いているが、表情はぼうとしており、呼びかけなどの刺激に反応せず、覚醒(かくせい)させるのはむずかしい。睡眠障害というよりは覚醒障害と考えられ、20歳前にはほとんど治まるので、原因としては中枢神経系の成熟度との関連が示唆されている。誘因としては疲労、ストレス、環境の変化などがあげられる。
[井上令一]