大法（読み）ダイホウ

デジタル大辞泉

だい‐ほう〔‐ホフ〕【大法】

１ すぐれた仏の教法。仏法。
２ 大乗の教法。
３ 密教の修法で最も重んじられる大がかりな修法。

たい‐ほう〔‐ハフ〕【大法】

重大な法規。大切なきまり。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

だい‐ほう‥ホフ【大法】

1. 〘 名詞 〙 仏語。
2. ① 仏の教えを尊んでいう語。すぐれた仏法。また、小乗の法に対して大乗の法。
   1. [初出の実例]「第十祖波栗湿縛尊者は、〈略〉当時すみやかに大法を単伝す」(出典：正法眼蔵（1231‐53）行持上)
   2. [その他の文献]〔法華経‐序品〕
3. ② 修法の一つ。密教修法のうち最も重んぜられる大がかりな修法で、大壇・護摩壇・十二天壇・聖天壇の四壇を設けて行なうもの。山門にいう四箇大法（熾盛光法・七仏薬師法・普賢延命法・安鎮法）、寺門にいう尊星王法・法華法・金剛童子法、東寺にいう孔雀法・仁王経法・請雨経法、その他がある。
   1. [初出の実例]「かのつきし人は、賢き智者にて、大法など尽してうけたりければ」(出典：宇津保物語（970‐999頃）春日詣)
4. ③ 大事な修法。重要な修法。〔日葡辞書（1603‐04）〕
5. ④ ⇒たいほう（大法）

たい‐ほう‥ハフ【大法】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 重要な法規。厳しいおきて。また、準拠しなければならない法。誰もが認める公の法。
   1. [初出の実例]「親之無沙汰者、其之子懸申者、無隠大方候」(出典：東寺百合文書‐を（宝徳四年）（1452）八月日・下久世庄住人等目安案)
   2. [その他の文献]〔書経伝‐洪範〕
3. ② 習慣づけられて決まっていること。きまり。慣例。
   1. [初出の実例]「猶恣号有禅椿契約、四分一代官得分由申之条、社領大法十分一也、不可承引之由申処」(出典：北野社家日記‐延徳二年（1490）二月一日)
4. ③ ⇒だいほう（大法）

おお‐ほうおほハフ【大法】

1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 大ざっぱなさま。
   1. [初出の実例]「真実(ほんとう)は左様(さう)もする筈だけれど其処(そこ)は又大法(オホボフ)で例へば俺(わし)が娘だとか、姪だとか云っても済みます」(出典：人情本・郭の花笠（1836）三)

出典　精選版 日本国語大辞典