奈良県中西部、吉野郡にある町。1921年(大正10)町制施行。町域は竜門(りゅうもん)山地南斜面上を吉野川北沿いに東西に長く延びる。河岸段丘の発達もみられ、北端に高取山(580メートル)がそびえる。吉野川に沿って近畿日本鉄道吉野線と国道370号が走り、下淵(しもぶち)で南北方向の国道169号、309号と交差する。近鉄下市口(しもいちぐち)駅は修験道(しゅげんどう)の山上(さんじょう)ヶ岳や大峰山系への登山口で、駅前から千石橋に至る下淵岡崎地区は郡内第一の商店街を形成する。吉野川分水の取水口が下淵にある。製材、木工業と果樹園経営が盛んで、特産品に二十世紀ナシと吉野茶がある。大規模なニュータウンが造成され、住宅地化が進んだ。面積38.10平方キロメートル、人口1万6728(2020)。
[菊地一郎]
『『大淀町史』(1973・大淀町)』
奈良県中央部,吉野郡の町。人口1万9176(2010)。吉野川中流の北岸に位置し,3段の河岸段丘,竜門山地南斜面の丘陵からなる。吉野郡の玄関口にあたり,吉野川沿いに近鉄吉野線,国道370号線が通るなど交通の要所である。伊勢街道沿いの古い集落のほかに,近年大規模な住宅地が増え,大阪方面へ通勤する人が増加している。第3次産業就業者が半分以上を占め,農業は兼業化が著しい。東部では茶栽培,西部の薬水峰では二十世紀梨などの果樹栽培が盛ん。山林地帯の玄関口にあたることから,工業は製材業などの木材木製品製造が中心である。比曾の世尊寺は聖徳太子開基とされる比曾寺跡にあたる。
執筆者:松原 宏
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