大谷藤子(読み)おおたにふじこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大谷藤子」の意味・わかりやすい解説

大谷藤子
おおたにふじこ
(1903―1977)

小説家。埼玉県生まれ。東京の三田高等女学校を経て東洋大学聴講生になる。『日暦』『人民文庫』などに参加して創作に精進し、1934年(昭和9)『半生』が『改造』の懸賞小説に当選、翌年発表の『須崎(すざき)屋』とともに出世作となった。力強いタッチの人物描写に定評があり、『山村の母達』(1939)、『谷間の店』(1946)など出身地秩父(ちちぶ)を題材にしたものに佳作が多い。短編を得意としたが、『青い果実』(1959)、『断崖(だんがい)』(1960)などの長編もある。

[江刺昭子]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大谷藤子」の解説

大谷藤子 おおたに-ふじこ

1903-1977 昭和時代の小説家。
明治36年11月3日生まれ。高見順,円地文子らと「日暦」を創刊。昭和9年「改造」の懸賞小説に「半生」が女性初の当選。28年「釣瓶(つるべ)の音」で女流文学者賞,45年「再会」で女流文学賞。昭和52年11月1日死去。73歳。埼玉県出身。三田高女卒。本名大谷(おおや)トウ。作品はほかに「青い果実」「最後の客」など。

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