天地返し(読み)テンチガエシ

デジタル大辞泉 「天地返し」の意味・読み・例文・類語

てんち‐がえし〔‐がへし〕【天地返し】

土の表層深層を入れ替えること。もと農耕園芸用語だが、福島第一原発事故以降は放射性物質で汚染された土壌をこの方法で除染する意味でも用いられる。
味噌の製造過程で、均一に熟成させるために、仕込んだ味噌をかきまぜること。

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精選版 日本国語大辞典 「天地返し」の意味・読み・例文・類語

てんち‐がえし‥がへし【天地返】

  1. 〘 名詞 〙 上下が入れかわること。転じて、天地がひっくりかえるほどの大騒動
    1. [初出の実例]「天地(テンチ)がへし大道具大仕かけ」(出典:寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天地返し」の意味・わかりやすい解説

天地返し
てんちがえし

深耕により下層の土を表層の土と入れ替えることをいう。土壌改良の一方法で、客土に匹敵する効果がみられる場合がある。植物を長く栽培していると、表層部分の土は養分の不足や微量元素が欠乏したり、逆に塩類が集積して成育に障害を及ぼすことがある。また、下層が表層より肥沃(ひよく)な土壌の場合や、老朽化水田のように鉄やマンガンその他の成分が作土から溶脱して下層の鋤床(すきどこ)層、さらに心土に集積している場合に、下層土を作土に掘り上げて混和すれば土壌が改良される。ただし天地返しによって漏水を助長する場合もあるので、注意が必要である。

[小山雄生]

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世界大百科事典(旧版)内の天地返しの言及

【耕耘】より

…日本で現在ロータリー耕が圧倒的に多く使われている理由は,水稲作を中心に機械化が進められ,田面を水平に保つために土の側方移動を嫌ったことによっている。特殊な耕耘としては,西欧の三圃式農法の休閑畑における除草を目的とした休閑耕,犂耕を続けた場合に犂の通る直下の土が硬くなる(耕盤)が,これを破壊する心土耕,下層土の改良や表層土と下層土の混合を目的とした混層耕,天地返しなどがある。【春原 亘】。…

※「天地返し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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