天明上信騒動(読み)てんめいじょうしんそうどう

改訂新版 世界大百科事典 「天明上信騒動」の意味・わかりやすい解説

天明上信騒動 (てんめいじょうしんそうどう)

1783年(天明3)浅間山大爆発で甚大な被害を受けた西上州の安中領から勃発し,東信濃佐久・小県地方にまで波及した打毀一揆。群馬県では安中騒動と呼び,長野県では天明騒動もしくは天明佐久騒動と呼んでいる。上州碓氷郡の諸村は,養蚕畑作地帯で,信州の佐久地方から米を移入していたが,この年の浅間山大噴火の被害で作物が全滅したうえ,佐久米の移入もとだえ,深刻な食糧不足に見舞われた。米屋の買占めもあったため,まず中山道の交通労働者(馬子,人夫,かごかき等)が中心となり,小前百姓も加わって米屋襲撃が行われた。9月29日,磯部の穀屋打ちこわしに始まったこの一揆は,またたく間に安中藩全領にひろまり,10月2日には信州へ押し出した。行く先々の農民の参加でふくれ上がった一揆勢は穀屋,質屋,酒屋を打ちこわしながら,岩村田-平賀野沢-御馬寄-小諸-禰津-田中と押し通り,人数およそ2000人となって上田領まで達したが,10月6日伊勢山村庄屋山田庄右衛門らの武力阻止によって退散・沈静した。上州では10月11日前橋近郊まで波及し,米穀商など8軒が打ちこわされたあと静まった。
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百科事典マイペディア 「天明上信騒動」の意味・わかりやすい解説

天明上信騒動【てんめいじょうしんそうどう】

江戸時代,上野(こうずけ)国・信濃(しなの)国で起きた百姓一揆。群馬県では安中(あんなか)騒動,長野県では天明騒動・天明佐久(さく)騒動などとよぶ。1783年の浅間(あさま)山の噴火による被害で食糧不足が起き,米屋の買占めなどもあり,中山(なかせん)道の馬子(まご)・人夫・駕籠(かご)かきらが中心になって米屋を襲撃する事態となった。これを契機に安中藩領全域に広がり,さらに信濃方面にも打毀(うちこわし)をしながら押し寄せ,2000人ほどの規模となって上田領に及んだが,武力により鎮圧された。

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