カンパネッラの主著。1602年ナポリの牢獄(ろうごく)でイタリア語で書かれた。23年刊。コロンブスの航海長を務めたジェノバ人が、タプロバーナ島(現スリランカ)の赤道直下の平原で見聞した国について語る、という形をとっている。形而上(けいじじょう)学を意味する「太陽」という名の神官君主と「力」「知」「愛」に相応する3人の高官の統治下で、すべての人が平等な教育と訓練を受け、軍務、農耕、牧畜などの義務を負い、能力に応じた仕事を与えられて、家族制度も私有もない共同生活を送りながら、どのように生き、何を考えているかを物語る。プラトンの影響を受けた理想国家論であるが、当時の社会や文化も知りえて興味深い。
[大谷啓治]
『坂本鉄男訳『太陽の都』(1967・現代思潮社)』
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…その間,拷問に屈せず自白しなかった。やがて若干の自由を与えられるようになり,《真正哲学》(1623)を出版し,経済や政治を論じてその理想社会の実例を示すために《太陽の都Civitas solis》(1623)を著した。これは空想ではなく,近いうちに実現可能の社会を予測したもので,国家によって各人は資質に応じてそれぞれの仕事の部門に配置され,生産財は国有とし,また結婚も国家が管理すべきとした。…
…17世紀初頭には著名な2例があらわれる。T.カンパネラ《太陽の都》(1623),F.ベーコン《ニュー・アトランティス》(1627)である。この両作品は,モアの《ユートピア》と同じく海を隔てた陸地もしくは島に場をさだめ,住民の明察とともに,素朴な自然性をも称揚している。…
※「太陽の都」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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