神政政治(読み)しんせいせいじ(英語表記)theocracy

翻訳|theocracy

日本大百科全書(ニッポニカ)「神政政治」の解説

神政政治
しんせいせいじ
theocracy

「神の支配(セオクラシー)」が原語の意味であり、「民の支配(デモクラシー)」などと同じく支配の形態および特徴を表す。このことばを最初に用いたのは、ユダヤの歴史家ヨセフスであるといわれ、彼はこれによって、『旧約聖書』にみられるような、政治的支配および権威の源泉を神に在(あ)るとするイスラエルの特殊な政治形態をさした。古代では生活のあらゆる領域が神の意思や神との契約によって律されるべきものとされたので、政治もその例外ではなかった。したがって神政政治では、神の意思を正しく受けかつこれを伝えるものはだれか、が決定的問題となる。それは、神によってたてられたカリスマ的指導者である預言者、僧侶(そうりょ)、王などであり、神の意思を第一とする限り、神政政治は「僧侶政治(ヒエロクラシー)」や「王政」の形をとることもある。神政政治の王が近代の「神授権説」の王と異なるのは、神の意思に背く場合、預言者によって批判され廃位されることである。

[飯坂良明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「神政政治」の解説

神政政治
しんせいせいじ
theocracy

神権政治ともいう。語源はギリシア語の theos (神) と kratos (権力) にあるが,J.ヨセフス造語である。元来,貴族政治や民衆政治と対比される政治体制であり,神が国家を統治する国家形態をいった。一般的には,聖なる政治規範により支配されている部族ないし国家の統治形態のすべてを意味する。したがって政治形態としては,政治権力者が宗教上の最高権威者と人格的に一致している形態や,政治権力者がみずからを神の威光によって権威づけ,絶対的服従を被支配者に要求する場合,あるいは宗教的権威と世俗権力とが拮抗しつつ,前者後者を支配する形態など,多様な例が見出される。古代エジプト王,古代イスラエルダビデ,ソロモン王,11世紀以後のローマ教皇,ヨーロッパ近世の絶対君主,日本の天皇などは,神政政治の支配者として代表的な例である。

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