デジタル大辞泉 「失念」の意味・読み・例文・類語 しつ‐ねん【失念】 [名](スル)1 うっかり忘れること。ど忘れ。物忘れ。「約束を失念して失礼しました」2 仏語。記憶をさまたげる心の作用。[類語]忘れる・物忘れ・忘却・忘失・ど忘れ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「失念」の意味・読み・例文・類語 しつ‐ねん【失念】 [ 1 ] 〘 名詞 〙① うっかりして忘れること。もの忘れ。度忘れ。[初出の実例]「次敷穏座〈先擬一世源氏座敷之、而失念取主人円座、進之間覚悟〉」(出典:山槐記‐仁安二年(1167)二月一一日)「只今一寸(ちょっと)失念(シツネン)して言ひ落しましたから、申します」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉六)② ( [梵語] muṣita-smṛtiḥ の訳語 ) 仏語。二十随煩悩の一つ。記憶を妨げる精神作用。[初出の実例]「菩薩乗人、持二開遮戒一。設有レ所レ犯、不レ応下失念、妄生二憂悔一、自悩中其心上」(出典:往生要集(984‐985)大文五)[その他の文献]〔遺教経〕[ 2 ] 江戸時代、元祿年間(一六八八‐一七〇四)に江戸新吉原で流行した歌。現在も「忘れ唱歌」の名で地歌として残る。失念の補助注記[ 二 ]については、「松の葉」中にみられる「しつねん」の歌詞が、「用捨箱‐中」にみられる土手節(どてぶし)の歌詞と類似しているので、土手節の一つとも考えられる。 しち‐ねん【失念】 〘 名詞 〙 ( 「しち」は「失」の呉音 ) =しつねん(失念)[ 一 ]①〔日葡辞書(1603‐04)〕[初出の実例]「御しちねんは御ざるまい。こなたへくだされい」(出典:虎清本狂言・鈍根草(室町末‐近世初)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例