(読み)シツ

デジタル大辞泉 「失」の意味・読み・例文・類語

しつ【失】[漢字項目]

[音]シツ(漢) [訓]うしなう うせる
学習漢字]4年
なくす。うしなう。うせる。「失業失点失望失恋遺失消失焼失喪失損失得失紛失忘失滅失流失
うっかり出してしまう。「失禁失言失笑
あやまち。しくじり。「失策失敗過失

しつ【失】

うしなうこと。損失。
あやまち。失敗。「利潤に耽るは商人の
きず。欠点。「学者のは人をあなどる」
野球で、失策の略。エラー。「三」「遊

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精選版 日本国語大辞典 「失」の意味・読み・例文・類語

しつ【失】

  1. 〘 名詞 〙
  2. やり方、方法、判断などのあやまり。あやまち。過失。失敗。
    1. [初出の実例]「雖直失、矯曲孰相比」(出典:菅家後集(903頃)哭奥州藤使君)
    2. 「大方のふるまひ・心づかひも、おろかにしてつつしめるは得の本なり。たくみにしてほしきままなるは失の本なり」(出典:徒然草(1331頃)一八七)
  3. きず。欠点。欠陥。また、定まったことに違反する事柄
    1. [初出の実例]「政親失出来之時、可返給之由、蒙右大臣家仰之旨、政俊雖之」(出典:鹿島大禰宜家文書‐安貞二年(1228)五月一九日・関東下知状)
    2. 「進では万人を撫ん事を計り、退ては一身に失(シツ)あらん事を恥づ」(出典:太平記(14C後)三五)
    3. [その他の文献]〔礼記‐経解〕
  4. 損失。弊害。
    1. [初出の実例]「されば、始め興宴より起りて、長き恨を結ぶ類多し。これみな争ひを好む失なり」(出典:徒然草(1331頃)一三〇)
  5. 野球で、捕球や送球の失敗。エラー。
    1. [初出の実例]「此最終回に臨んで石川遊撃の失(シツ)に生きると」(出典:日本野球史(1929)〈国民新聞社運動部〉忍苦の一高又も早慶に敗る)

しち【失】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しち」は「失」の呉音 )
  2. しつ(失)
    1. [初出の実例]「虚名不立謬旨終有(シチ)〔尚書〕」(出典:文明本節用集(室町中))
  3. 射芸で、的に向かっている間に生じた過失。弓折れ、弓返り、弦切(つるきれ)などの類。

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普及版 字通 「失」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] シツ
[字訓] うしなう・あやまる

[説文解字]
[その他]

[字形] 象形
手をあげて舞い、恍惚の状態にあることを示す。祝してエクスタシーの状態となること。〔説文十二上に「縱(はな)つなり」とし、字を手に従い、乙(いつ)声とするが、乙に従う字ではない。似た字形に夭(よう)があり、身を傾けて舞う形。また(そく)は頭を傾けて舞う形。失は自失の意、すべて亡失のことをいう。

[訓義]
1. うしなう、気を失う、忘我・自失の状態となる。
2. ものをうしなう、わすれる、にがす。
3. あやまつ、あやまる、みだれる。
4. たがう、くるう、ほしいままにする。
5. 佚と通じ、たのしむ。
6. 逸と通じ、のがれる。

[古辞書の訓]
和名抄〕失 師に、失聲なり、比古惠(ひこゑ、乾声)。嘶咽なり、古路々久(ころろく)/失 日本紀私記に云ふ、古々路万比(こころまどひ)〔名義抄〕失 ウス・ウシナフ・イタス・アヤマツ 〔字鏡集〕失 ウス・トガ・イタル・スツ・ワスル・イタス・ウシナフ・アヤマツ

[声系]
〔説文〕に失声として(迭)・跌・・秩・佚・など十九字を収める。・跌・佚など、失の声義を承けるものが多い。

[語系]
失sietは佚・(逸)jietと声義が近い。〔書、盤庚上〕の〔伝〕に「佚は失なり」、〔説文〕十上に「は失なり」とみえる。は脱の逸走する意で、失の亡失の義に近い。

[熟語]
失意・失位失遺・失恩・失過失火・失悔・失格・失陥・失歓・失期・失機・失気・失喜・失義失脚・失去・失御失馭・失暁・失業・失偶・失計・失刑失敬失蹶・失言失怙失伍・失語・失誤・失口・失行・失魂・失策・失錯・失産・失志・失次・失事失恃・失時・失辞・失実・失手・失守・失術・失所・失序・失笑失蹤・失色失職・失身・失真失心・失信・失神・失寝・失慎・失人・失失政・失声・失正・失勢・失跡・失節・失措・失踪・失俗・失損・失体・失態・失第・失脱・失地・失疇・失・失調・失聴・失・失墜・失隊・失図・失度・失当・失道・失得・失徳・失念・失黏・失敗・失魄・失寐・失匕・失費・失・失物・失望・失眠・失明・失名・失命・失迷・失約・失容・失落・失利・失理・失礼・失儷・失列・失路・失漏・失鹿・失惑
[下接語]
違失・遺失・逸失・過失・機失・虧失・救失・挙失・矯失・欠失・言失・耗失・曠失・自失・酒失・消失・焼失・喪失・損失・大失・跌失・得失・廃失・百失・紛失・放失・亡失・忘失・滅失・流失・礼失・漏失

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【神判】より

…ヨーロッパの近代合理主義が前近代的な呪術的思考の産物として神判や魔女裁判をきびしく否定し,葬り去ったのと同様な対応がアフリカでも行われた。この傾向は,独立以後近代化をすすめるアフリカ人みずからの手でも推進され,神判はその本来の機能を失って形骸化していく。もちろんそれが完全に消滅したわけではなく,形を変えて残ってはいるが,博物館的存在になっているのは否めない。…

※「失」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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