奈良原神社(読み)ならばらじんじや

日本歴史地名大系 「奈良原神社」の解説

奈良原神社
ならばらじんじや

[現在地名]玉川町木地

楢原ならばら山頂にある。祭神は伊弉諾命・大山久意神・宇気母智神・長慶天皇。水神として、農耕・牛馬の守護神として郡民の信仰が厚い。境内には経塚があり、国宝銅宝塔の出土地として有名で、石造宝塔もあり、付近は長慶天皇の伝説の地としても知られている。

信仰は原始の山岳信仰にさかのぼるが、「奈良原山略縁起」(光林寺蔵)は、大宝元年(七〇一)文徳天皇勅願により僧徳蔵が白山権現を祀ったことに始まるという。水源の神である児守権現・勝手明神はその摂社として祀られたものである。

旧社地は南東約四キロの地点で、いつ移ったかは不明であるが、境内の神木、県指定天然記念物の子持杉は樹齢一千年以上と推定されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「奈良原神社」の意味・わかりやすい解説

奈良原神社
ならはらじんじゃ

愛媛県今治市の楢原山頂にある神社。祭神はイザナギノミコトほか2柱。長慶天皇も合祀されている。社伝では,持統4 (690) 年に小千 (おち) 玉興が葛城山から役小角を迎えて創建したと伝えているが,『奈良原山略縁起』では,大宝1 (701) 年に文徳天皇の勅願により僧徳蔵が白山権現をまつったことに始まるとしている。江戸時代以降は牛馬の守護神として信仰を集めた。山頂の境内には平安末期の経塚があり,出土品に銅製宝塔型経筒,檜扇そのほか多数があり,一括して国宝。宝塔型経筒は基壇を失っているがほぼ完存しており,また檜扇は彩絵のある完存したものが1柄ある。

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世界大百科事典(旧版)内の奈良原神社の言及

【玉川[町]】より

…農林業を主とするが,蒼社川の渓流に沿う鈍川(にぶかわ)温泉を中心に今治市背後の観光地として発展した。楢原山一帯には南朝の長慶天皇の遷幸伝説が残り,山頂には同天皇などをまつる奈良原神社がある。同社は江戸中期以降牛馬の守護神としてひろく崇敬され,県内各地に分祀されている。…

※「奈良原神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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