奥出雲(読み)おくいずも

改訂新版 世界大百科事典 「奥出雲」の意味・わかりやすい解説

奥出雲[町] (おくいずも)

島根県東部,仁多(にた)郡の町。2005年3月仁多町と横田(よこた)町が合体して成立した。人口1万4456(2010)。

奥出雲町西部の旧町。仁多郡所属。斐伊(ひい)川上流の小盆地に位置する。1955年三成町と布勢,亀嵩(かめだけ),三沢阿井の4村が合体,改称。人口8733(2000)。斐伊川と大馬木(おおまき)川の合流点の河岸段丘上にある中心の三成は,近世に付近で産出する鉄や年貢米を搬出するための斐伊川水運の船着場として発展した。東部の亀嵩は19世紀に始まった雲州そろばんの発祥地で,現在もそろばん生産が行われている。西部の三沢には中世に三沢氏が拠った要害山がある。和牛の飼育の盛んな地域で,仁多牛の産地として知られる。米作,シイタケ栽培が盛んで,農機具生産も行われる。大馬木川の中流にある鬼の舌震(おにのしたぶる)(名・天)は,花コウ岩の浸食作用によってつくられた渓谷で,周囲は県立自然公園に指定されている。JR木次(きすき)線,国道314号線が通じる。

奥出雲町東部の旧町。仁多郡所属。人口7956(2000)。中国山地に位置し,斐伊川上流域を占め,東は鳥取県,南は広島県に接する。斐伊川の支流下横田川に沿ってJR木次線と国道314号線が走る。山間の高冷地のため,農業は畜産,野菜や果樹の栽培が主であり,特産に仁多牛,仁多米がある。また幕末から作られている雲州そろばんは,播州そろばん(兵庫県小野市)と並んで全国に知られている。明治初期まで砂鉄採取によるたたら製鉄が盛んに行われ,鉄穴(かんな)流しの跡の平たん地は水田化されている。岩屋寺境内にある花コウ岩の峡谷〈岩屋寺の切開(きりあけ)〉,竹崎カツラ巨木はいずれも天然記念物に指定されている。広島県境の三井野原(みいのはら)は比婆道後帝釈(ひばどうごたいしやく)国定公園に含まれ,スキー場として知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥出雲」の意味・わかりやすい解説

奥出雲(町)
おくいずも

島根県南東部、仁多(にた)郡の町。斐伊(ひい)川の上流、中国山地の標高200~700メートルに位置し、鳥取・広島両県に接する。2005年(平成17)横田、仁多の2町が合併、奥出雲町となった。JR木次(きすき)線、国道314号、432号が通じる。米作が盛んで、全国ブランド「仁多米」を産する。また和牛(仁多牛)飼育でも知られ、その堆肥は米づくりに利用されている。そのほか、キャベツ、ダイコンなどの野菜栽培、ブドウなどの果樹栽培も行われる。2005年には、農業振興のための構造改革特別区域計画「奥出雲来遠(らいおん)の里づくり特区」が認定された。古くは砂鉄採取と、たたら製鉄が盛んに行われていた。現在もその技術が残されていて、たたら角炉伝承館、可部屋(かべや)集成館、奥出雲たたらと刀剣館では、たたら製鉄の歴史や技法を知ることができる。伝統産業として雲州そろばんの生産があるが、そろばんの消費量が減少しているため、銘木工芸品などに生産を広げている。斐伊川は素戔鳴命(すさのおのみこと)の「八岐大蛇(やまたのおろち)」伝説の舞台となっていて、その支流大馬木(おおまき)川にある国の名勝・天然記念物の鬼の舌震(したぶるい)は県立自然公園になっている。面積368.01平方キロメートル、人口1万1849(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「奥出雲」の意味・わかりやすい解説

奥出雲[町]【おくいずも】

島根県東部の仁多郡の町。町内を斐伊川が流れる。2005年3月仁多郡仁多町,横田町が合併し町制。国道314号線,432号線が通じる。368.01km2。1万4456人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「奥出雲」の解説

奥出雲

島根県、奥出雲酒造株式会社の製造する日本酒。奥出雲町産の米を使用した純米酒のシリーズ。

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