鬼の舌震(読み)おにのしたぶるい

日本歴史地名大系 「鬼の舌震」の解説

鬼の舌震
おにのしたぶるい

[現在地名]仁多町高尾 下高尾

斐伊川の支流大馬木おおまき川の中流域にある三キロにわたる大渓谷大天狗おおてんぐ岩・小天狗こてんぐ岩などの絶壁が連なり、河床にははんど(大水甕)岩・千畳岩など数々の風化浸食された奇岩・怪石が畳々と横たわっている。その岩間清流が音をたてて流れ、数ヵ所に小瀑布がある自然の作り出した景勝地である。

出雲国風土記」の仁多郡に載るしたい山が鬼の舌震の山に比定され、「古老の伝へに云へらく、和爾、阿伊村に坐す神、玉日女命を恋ひて上り到りき。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬼の舌震」の意味・わかりやすい解説

鬼の舌震
おにのしたぶるい

島根県南東部、斐伊(ひい)川の支流大馬木(おおまき)川にある峡谷。仁多郡奥出雲(おくいずも)町に属す。花崗(かこう)岩の基盤が侵食されてできたV字谷で3キロメートルに及ぶ。河床には大小甌穴(おうけつ)群や十畳敷石、船岩などの巨岩があり、また両岸天狗(てんぐ)岩などの絶壁をなし、所々に滝がかかる秘境である。国の名勝・天然記念物に指定されており、また県立自然公園の中心。舌震の名は、『出雲国風土記(いずものくにふどき)』伝承の「和邇(わに)の恋山(したいやま)」の転訛(てんか)したものと伝えられる。JR木次(きすき)線出雲三成(みなり)駅から途中までバスが通じる。

[矢野 博]

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改訂新版 世界大百科事典 「鬼の舌震」の意味・わかりやすい解説

鬼の舌震 (おにのしたぶる)

鬼舌振とも書く。島根県南東部,斐伊(ひい)川支流大馬木川の中流部にある約3kmにわたる渓谷で,県立自然公園,天然記念物に指定されている。仁多郡奥出雲町にある。地名は《出雲国風土記》の和爾(わに)伝承から転じたともいう。一帯は花コウ岩が浸食されて両岸が切り立った急峻な渓谷で,河水による大小の甌穴(おうけつ)が河底にみられる。球状の割れ目をもつこうもり岩,千畳敷岩,畳岩などの岩塊と,両岸のミズナラ,コナラ,ナツハゼ,カエデなどの広葉樹を中心にアカマツが点在する。JR木次(きすき)線出雲三成駅からバスが通じる。
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百科事典マイペディア 「鬼の舌震」の意味・わかりやすい解説

鬼の舌震【おにのしたぶるい】

島根県仁多町(現・奥出雲町),斐伊川支流大馬木(おおまき)川の渓谷(名勝)。花コウ岩が浸食により深いV字谷をなし,川の中には巨岩,甌穴(おうけつ)が見られる。
→関連項目仁多[町]

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事典・日本の観光資源 「鬼の舌震」の解説

鬼の舌震

(島根県仁多郡奥出雲町)
島根の名水百選」指定の観光名所。

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