青森県南東部にある市。東は太平洋、西は小川原湖(おがわらこ)に臨み、市域の大部分は平坦(へいたん)である。1948年(昭和23)上北(かみきた)郡三沢村と六戸(ろくのへ)、下田(しもだ)、浦野館(うらのだて)の各一部が合併して大三沢町となり、1958年市制施行して三沢市と改称。第三セクター青い森鉄道(旧、JR東北本線)、国道338号が通じ、三沢空港は東京、大阪(伊丹)、札幌(丘珠)との間に定期便が通じる。中世から馬産地で、近世は盛岡藩の九牧の一つ木崎野があった。1941年(昭和16)旧海軍航空基地が設置されたが、第二次世界大戦後はアメリカ空軍基地に接収され、以来基地の町となった。1958年には航空自衛隊の基地も置かれた。夏は偏東風山背(やませ)が冷気をもたらす冷害の常襲地で、米作に不向きなため畑作が多かったが、1970年淋代平(さびしろたい)などの大開田が行われた。太平洋岸の淋代は1931年アメリカ人飛行士ハーンドンとパーングボーンが世界最初の太平洋無着陸横断飛行の出発地とした地。三沢市先人記念館には国指定重要有形民俗文化財の南部のさしこ仕事着コレクションがある。なお、市北部の太平洋と小川原湖の間に位置する仏沼(ほとけぬま)は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。面積119.87平方キロメートル、人口3万9152(2020)。
[横山 弘]
『『三沢市史』復刻版(1982・三沢市)』
青森県東部,太平洋に面する市。1958年市制。人口4万1258(2010)。市域は南北に細長く,小川原(おがわら)湖の東に広がる淋代平(さびしろたい)と同湖の南西に展開する三本木原の二つの洪積台地にわたっている。この地域の気候は比較的低温で,夏には〈やませ〉といわれる偏東風が冷気をもたらし,しばしば冷害に見まわれる。淋代平には1941年海軍航空基地が設けられ,第2次大戦後はアメリカ空軍の基地となった。それ以来,基地の街として発展し,58年には航空自衛隊の三沢基地が置かれ,84年からは民間空港としての運用も開始された。台地は水田が少なく畑作地帯であったが,戦後に淋代平の大開田が行われてから水田が増加した。台地はまた古来馬の放牧に利用され,古間木(ふるまき)(古牧)という地名が残っている。十和田観光の東の玄関口となっている。JR東北本線(現、青い森鉄道線)が通り,三沢駅からは十和田観光電鉄線(2012年廃止)が分岐する。
執筆者:横山 弘
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