デジタル大辞泉 「奥手」の意味・読み・例文・類語 おく‐て【奥手/晩=生/晩=稲】 1 (晩稲)比較的遅く成熟する品種の稲。中手なかて・早稲わせに対していう。《季 秋》「刈るほどに山風のたつ―かな/蛇笏」2 (奥手・晩生)一般に、遅く成熟すること。㋐花や実のつくのが遅い草木の品種。㋑成熟の遅い人。「あの子は―だ」㋒時節より遅く咲く草花。「咲く花もをそろ(=早熟)はいとはし―なる長き心になほしかずけり」〈万・一五四八〉[類語]早稲わせ・早生そうせい・中手・晩生ばんせい 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「奥手」の意味・読み・例文・類語 おく‐て【奥手・晩稲】 〘 名詞 〙① 植物などの生長、成熟が遅い種類。おく。(イ) 時節に遅れて花が咲いたり実ったりする草木。→早生(わせ)・中手(なかて)。[初出の実例]「咲く花もをそろは厭(いと)はし奥手(おくて)なる長き心になほしかずけり」(出典:万葉集(8C後)八・一五四八)(ロ) おそく実る稲。おしね。江戸時代は晩稲が一番安定、多収穫品種だったので、最も広く作付けされた。→早稲(わせ)・中稲(なかて)。《 季語・秋 》[初出の実例]「あさ露のおくての山田かりそめにうき世の中を思ひぬるかな〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷)② 時期が遅れること。手遅れ。[初出の実例]「逢はぬ恋などは、おくて、逢い過ぎて此身になったも其殿ゆゑ」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)三)③ 転じて、人の成長がおそいこと。おく。[初出の実例]「四十一になって色気着いたとは少し此人は晩稲(オクテ)で御坐います」(出典:落語・阪東お彦(1898)〈四代目橘家円蔵〉) おく‐の‐て【奥手】 〘 名詞 〙① ( 「おく」は、左のことで、左を尊んだことによる ) 左手を尊重していう語。たいせつな手。[初出の実例]「我妹子(わぎもこ)はくしろにあらなむ左手のわが奥手(おくのて)に纏(ま)きて去(い)なましを」(出典:万葉集(8C後)九・一七六六)② 技芸などの秘訣(ひけつ)。とっておきの手段、方法。〔本福寺跡書(1560頃)〕[初出の実例]「親をだしに使ふは、物取の奥の手」(出典:浄瑠璃・栬狩剣本地(1714)三) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例