如何で・争で(読み)いかで

精選版 日本国語大辞典 「如何で・争で」の意味・読み・例文・類語

いか‐で【如何で・争で】

〘副〙 (「いかにて」の撥音便化した「いかんて」が変化した語。あとに、意志推量願望などの表現を伴って用いる) →いかでいかでいかでかいかでかはいかでも
理由手段、方法などについて疑問、不定の意を表わす。どうして。何として。
※後撰(951‐953頃)恋一・五五五「いかでかく心ひとつをふたしへにうくもつらくもなして見すらん〈伊勢〉」
反語の意を表わす。何として。どうして(…しようか、いや…でない)。どんなわけがあって(…の方法があろうか、ない)。
※竹取(9C末‐10C初)「翁、月な見給ひそ〈略〉といへば、いかで月をみではあらんとて」
源氏(1001‐14頃)桐壺「雲の上も涙にくるる秋の月いかですむらん浅茅生(あさぢふ)の宿」
③ 切なる願望のため、あれこれと方法を考える気持を表わす。何とかして。せめて。どうにかして。どうか。
※竹取(9C末‐10C初)「いかで此のかぐや姫を得てしかな」
土左(935頃)承平五年一月一一日「いかでとく京へもがな」
[語誌]理由や原因を問う形式として「なに(か)、など(か)、なぞ」などがあり、上代には「いかに」系が様子・方法、「なに」系が理由・原因という区分けが比較的はっきりしていたが、平安期には「いかで」の理由・原因を問う用法が発達し、「なに」系の用法を侵食していった。なお平安中期以降になると反語のときには多くの場合「いかでか」の形をとるようになる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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