媽祖(読み)まそ(英語表記)Ma-zu

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

媽祖

約千年前に中国に実在した女性。海を渡って病や災いから人々を守ったとされ、死後は海の神としてまつられた。航海家内の安全を願い、海を渡った華僑によって、世界各地で媽祖廟が建てられている。長崎では、当時の「媽祖行列」を再現する催しがある。

(2006-03-17 朝日新聞 夕刊 1社会)

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世界大百科事典 第2版の解説

まそ【媽祖 Mā zǔ】

中国の航海守護神(女神)。民間では媽祖と称されたが,歴代朝廷の封賜を受け,では霊恵妃,元・明では天妃,清では天后と封号された。その信仰は宋代に福建の莆田地方で発生し,雨旱,疫病,盗賊などから住民を守護するものとされた。元代になって海上交通が盛んになると,航海守護神として,中・南部の沿海地域を中心に,北部の沿海地域にも広まり,官民の熱い信仰を得るようになり,明・清時代にも衰えることがなかった。台湾,琉球,日本および南海地方など,広くアジア全域にも伝えられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

媽祖
まそ

中国の代表的航海神。初めは福建(ほでん)海辺の郷土神であったが、宋(そう)代の元祐(げんゆう)2年(1087)に泉州が貿易港として開放され市舶司(しはくし)(貿易管理機関)を設置するようになったことから、にわかに舟師(船子)の信仰が盛んになり、たちまち福建・浙江(せっこう)一帯に広まった。元(げん)代に入ると、江南から燕京(えんきょう)への米穀輸送船の遭難にしばしば顕霊(けんれい)して朝廷から「天妃(てんぴ)」の号を封ぜられて全国的に航海守護神化され、船ごとに祀(まつ)られるようになった。明(みん)代になると、一時信仰が内地に広がっていったが、1405年から鄭和(ていわ)らの西洋(南海)遠征大船団、ならびに琉球冊封(りゅうきゅうさくほう)使船の往来にしばしば顕霊して祀られ、さらには海外貿易者の進出に伴い、琉球、日本(薩摩(さつま)、長崎、水戸など)、また台湾および南洋各地にも信仰が伝わった。さらに清(しん)代には、鄭(成功ら)氏の変を克服したのち「天后(てんこう)」に封ぜられた。それで祠廟(しびょう)は宋代の封号や天妃・天后、または民間の称号「媽祖」を冠して名づけられることが多い。近代に入ると、信仰者の願望に従い、女神であることも手伝って、しだいに誕生、育児、疾病などを祈る家庭神に変化した。[李 献 璋]
『李献璋著『媽祖信仰の研究』(1978・泰山文物社)』

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世界大百科事典内の媽祖の言及

【天后宮】より

…航海安全の守護神をまつる社。媽祖廟(まそびよう)ともいう。この神はもと中国の宋代に実在した巫女といわれ,のちに天后,天妃,天上聖母などと尊称された。…

※「媽祖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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