落語。上、中、下に分かれた大作で、幕末の名手初代春風亭柳枝(しゅんぷうていりゅうし)の作といわれる。上に『強飯(こわめし)の女郎(じょうろ)買い』、下に『子は鎹(かすがい)』の独立演題がある(中の巻にはない)。大工の熊五郎が葬式(とむらい)酒に酔い、葬式で出された「おこわ」を持って、屑屋(くずや)の長公と吉原で遊んでしまう(上)。朝帰りをした熊五郎が、女郎との仲を話したため、女房は子供の亀吉を連れて家を出てしまい、熊五郎は女郎を家に入れるが、結局は別れる(中)。後悔した熊五郎は気を入れて働き、3年たつ。ある日亀吉に会い、母親に内緒で小遣いの金をやる。その金を母親に見とがめられ、玄翁(げんのう)(木槌(きづち))でぶたれそうになった亀吉が白状し、翌日、3人は再会して元の鞘(さや)に収まる(下)。サゲは「お前さんと元のようになれるのも、この子があればこそ。ほんとうに子供は夫婦の鎹ですね」「はは、道理できのう玄翁で頭をぶつといった」。のち三遊亭円朝が、女房が子供を残して出て行くように改作、これを2代目三遊亭円馬が大阪に伝えたため、上方(かみがた)落語にはこの別名『女の子別れ』が今日まで残されている。
[関山和夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…この場合,幼獣は群れの中心におかれ保護される。しかし,子どもがいつまでも親といっしょにいてはつごうの悪い場合,たとえば,一応の生活が可能になったキタキツネの子別れのように,子どもを親の周囲から追い払う場合もある。サイも次の繁殖期に入ると子どもをつきとばして接近させなくなる。…
※「子別れ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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