宇井伯寿(読み)ウイハクジュ

デジタル大辞泉 「宇井伯寿」の意味・読み・例文・類語

うい‐はくじゅ〔うゐ‐〕【宇井伯寿】

[1882~1963]インド哲学者・仏教学者。愛知の生まれ。東北大・東大教授歴任インド哲学研究の権威文化勲章受章。著「印度哲学研究」「仏教汎論」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「宇井伯寿」の意味・読み・例文・類語

うい‐はくじゅ【宇井伯寿】

  1. インド哲学者、仏教学者。文博。愛知県出身。東京帝国大学卒。東北大、東大教授、駒沢大学学長などを歴任。昭和二八年(一九五三)文化勲章受章。著「印度哲学研究」「仏教汎論」「摂大乗論研究」など。明治一五~昭和三八年(一八八二‐一九六三

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

20世紀日本人名事典 「宇井伯寿」の解説

宇井 伯寿
ウイ ハクジュ

大正・昭和期のインド哲学者,仏教学者,僧侶(曹洞宗) 東京帝国大学教授;駒沢大学総長。



生年
明治15(1882)年6月1日

没年
昭和38(1963)年7月14日

出生地
愛知県御津町

別名
幼名=茂七,号=活翁

学歴〔年〕
東京帝大文科大学印度学科〔明治42年〕卒

学位〔年〕
文学博士〔大正10年〕

主な受賞名〔年〕
帝国学士院賞〔昭和6年〕,文化勲章〔昭和28年〕

経歴
12歳で得度。在学中、高楠順次郎師事、インド哲学を専攻。明治42年曹洞宗大学、慶大などで講師ののち、大正2〜6年ドイツイギリス留学。帰国後、8年東京帝大文学部講師、10年文学博士、12年東北帝大教授となり印度哲学第一講座を担当。昭和5年東京帝大教授となった。6年著書「印度哲学研究」(全6巻)により帝国学士院賞を受賞。18年定年退官。この間、16年に駒沢大総長となるが半年で辞した。25年名古屋大専任講師、他に東洋大、日大高野山大、大正大、東京文理大、早大、学習院大などで教鞭をとった。28年インド哲学研究の開拓、発展に努めた功労により文化勲章受章。著書は「仏教思想研究」「印度哲学史」「支那仏教史」「禅宗史研究」(3巻)「仏教汎論」(2巻)「日本仏教概史」「安彗護法唯識三十頌釈論」「宝性論研究」「大乗荘厳経論研究」「釈道安研究」「大乗仏典の研究」「西域仏典の研究」など多数。「宇井伯寿著作集」(全8巻)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇井伯寿」の意味・わかりやすい解説

宇井伯寿
ういはくじゅ
(1882―1963)

インド哲学者、仏教学者。愛知県出身。12歳のとき曹洞(そうとう)宗に入り、茂七を伯寿と改名した。東京帝国大学卒業のあとヨーロッパ(ドイツ、イギリスなど)に留学。その間にロンドンでインド哲学の漢訳書の研究書(英語)を公刊した。駒沢大学、東北帝国大学、東京帝国大学の教授を歴任。サンスクリット語パーリ語、漢文、諸外国語に通暁し、きわめて厳密、正確、周到、堅実、しかも広範な研究を展開した。とくに『印度哲学研究』6巻(1924~1932)は、日本のインド哲学、仏教学の基礎を確立した論文集で、世界に誇る偉業として知られ、学士院賞を受けた。続いて、日本最初の『印度哲学史』を刊行。そのほか、大著『仏教汎論(はんろん)』をはじめ、研究はインド、中国、日本にまたがり、著書は多い。1953年(昭和28)文化勲章受章。

[三枝充悳 2016年8月19日]

『『宇井伯寿著作選集』全7巻(1966〜1968・大東出版社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「宇井伯寿」の意味・わかりやすい解説

宇井伯寿 (ういはくじゅ)
生没年:1882-1963(明治15-昭和38)

インド哲学者,仏教学者。愛知県出身。1909年東京帝国大学文科大学卒業後,ドイツ,イギリス等に留学。豊富な文献的知識をもとに緻密で周到な文献学的考証を行うその学風は,日本のインド学・仏教学界に絶大な勢力を築いた。主著に《印度哲学研究》6巻(1926),《印度哲学史》(1932),《禅宗史研究》(1939),《摂大乗論研究》(1935),《仏教汎論》(1947-48)のほか,《The Vaiśeṣika Philosophy》(《勝宗十句義論》の英訳,1917)等がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇井伯寿」の意味・わかりやすい解説

宇井伯寿
ういはくじゅ

[生]1882.6.1. 愛知
[没]1963.7.14.
インド哲学者,中国および日本仏教学者。東京帝国大学卒業 (1909) ののち同大学院に進み,ドイツ,イギリス,インドに留学 (13) 。帰朝して東京大学文学部講師となり (19) ,文学博士 (21) 。のち東北帝国大学教授となり (23) ,再び東京大学の教授として印度哲学第一講座を担当 (30~43) 。日本の精神的遺産を継承しつつインド哲学,仏教研究のうえに新たな方法を導入し,初めてそれを学問的に体系づけた功績はきわめて重要。主著『印度哲学研究』第1~6 (24~30) ,『印度哲学史』 (32) ,『摂大乗論の研究』 (35) ,『仏教汎論』 (2巻) ,『東洋の研究』『唯識三十頌釈論』『陳那著作の研究』『瑜伽論研究』など。その著書,論文は中村元編『宇井伯寿博士著作展望』 (64) に網羅されている。 1953年文化勲章を受章。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宇井伯寿」の解説

宇井伯寿 うい-はくじゅ

1882-1963 大正-昭和時代のインド哲学者,仏教学者。
明治15年6月1日生まれ。曹洞(そうとう)宗の僧。東京帝大で高楠(たかくす)順次郎にまなぶ。大正12年東北帝大教授,昭和5年東京帝大教授。6年「印度哲学研究」で学士院賞。16年駒沢大学長。28年文化勲章。インド哲学史や仏教史(インド・中国・日本)をはじめて体系化した。昭和38年7月14日死去。81歳。愛知県出身。道号は活翁。著作に「印度哲学史」「仏教汎論(はんろん)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「宇井伯寿」の意味・わかりやすい解説

宇井伯寿【ういはくじゅ】

インド哲学者,仏教学者。愛知県出身。高楠順次郎に学び,実証的学風によるインド哲学の確立に努力し,現代における仏教研究の基礎を築く。1953年文化勲章。著書《印度哲学研究》《禅宗史研究》。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

367日誕生日大事典 「宇井伯寿」の解説

宇井 伯寿 (うい はくじゅ)

生年月日:1882年6月1日
大正時代;昭和時代のインド哲学者;仏教学者。東京帝国大学教授;駒沢大学総長
1963年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android