蒋介石(しょうかいせき/チヤンチエシー)夫人。宋子文(そうしぶん/ソンツーウェン)は兄、宋靄齢(そうあいれい/ソンアイリン)(孔祥煕(こうしょうき/コンシヤンシー)夫人)、宋慶齢(そうけいれい/ソンチンリン)(孫文(そんぶん/スンウェン)夫人)は姉。父、宋嘉樹(そうかじゅ/ソンチーアシュー)(耀如(ようじょ/ヤオルー)は号)は実業家であり、孫文の有力な後援者であった。上海(シャンハイ)に生まれ、両親とも熱烈なクリスチャンで、父はアメリカの神学校を卒業し、英語が巧みで、当時としては非常に開明的な家庭に育った。
1908年宋慶齢とともに留学のため渡米した。17年ウェルズリー女子大学を卒業。帰国し、上海のYWCAでさまざまな社会活動に従事した。27年家族の反対を押し切って蒋介石と結婚した。蒋介石はこの結婚に際し妻を離縁した。結婚後、宋美齢は政治面で夫の片腕となり夫を助け、蒋介石は宋家の閨閥(けいばつ)や財力を利用し自らの権力基盤を強固なものにしていった。以後、宋美齢は、国民政府立法委員、国民党中央航空委員会秘書長、新文化運動委員会主席、婦女評議委員会主席、国民党中央執行委員会常務委員などを務めた。また、軍閥との戦争や第一次国共内戦では、前線の兵士を慰問し、傷病兵の看護の陣頭指揮にもあたった。36年西安(せいあん/シーアン)事件の際には、宋子文とともに西安に飛び周恩来(しゅうおんらい/チョウエンライ)と会見、交渉して、蒋介石釈放に成功。その辣腕(らつわん)ぶりを世に示した。日中戦争中、42年訪米し、巧みな英語を駆使し、アメリカ国会での演説を手始めにアメリカ各地を遊説。中国支援の世論を喚起し、アメリカ政府から多大の対中援助を引き出すことに成功した。第二次国共内戦の劣勢のなか、48年12月に訪米し、アメリカ政府にその内戦不介入政策の変更を迫ったが失敗。アメリカ滞在中の49年10月に共産党軍が中国大陸を制覇し、中華人民共和国が誕生した。
1950年1月、宋美齢は台湾に逃れた蒋介石のもとに帰り、以後中華婦女反共抗ソ連合会主席、国民党中央評議委員会主席団主席などを務めるとともに、たびたび訪米し中華民国支持の世論を喚起して、アメリカ政府から多大の援助を引き出し、対米外交に貢献した。75年蒋介石が死去すると渡米し、以後台湾・アメリカ間を往来したが、91年9月以後はアメリカに定住した。なお、生年には1897年と1901年の2説がある。
[阿川修三]
『蒋宋美齢著、長沼弘毅訳『わが愛する中華民国』(1970・時事通信社)』▽『スターリング・シーグレーブ著、田畑光永訳『宋王朝――中国の富と権力を支配した一族の物語』上下(1986・サイマル出版会)』▽『伊藤純・伊藤真著『宋姉妹――中国を支配した華麗なる一族』(角川文庫)』
1901?~2003
中国の政治家。蒋介石(しょうかいせき)夫人。海南島文昌県の人で,上海生まれ。宋靄齢(そうあいれい),宋慶齢,宋子文の妹。アメリカのウェルズリー大学卒業。1927年末蒋の後妻となり,キリスト教界,航空界,実業界に進出した。36年西安事件で夫の救出にあたり,43年と48年に訪米して援助を要請した。46年シェンノートと組んで中美実業公司(のちのCAT航空)をつくり,これを交通トラストに仕上げた。蒋介石の死後,アメリカに居住。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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…以後全国で反共テロを行い,10年に及ぶ国共内戦の発端をつくった。同年末,孫文夫人宋慶齢の妹宋美齢と結婚,胡漢民,汪精衛を抑えて孫文の〈後継者〉の地位を固めようとした。 28年南京国民政府成立後,国民政府軍事委員長,中央政治会議主席となり,軍事・政治の大権を握って独裁をすすめるが,29‐30年,これに反発する各地の軍閥の反蔣戦争が起こった。…
…上海生れ。宋靄齢(孔祥熙夫人)の妹,宋美齢(蔣介石夫人)・宋子文の姉。アメリカ留学後,1915年孫文と結婚。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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